• 自分の指先から
    生みだせるものがある。
    その力を信じて
    ショコラティエの道を歩んでいきたい。

      • パティスリー HEIGORO 本店

        エグゼクティブ ペストリーシェフ
        高良 大地

        Daichi Takara

      • パティスリー HEIGORO 本店
      • 長野市大門町515
      • 026-266-0156
      • http://www.fujiyaheigoro.com/

さまざまな経験が
すべて今につながっている。

 小さい頃に母親が飲食店をやっていたこともあり、「食」はとても身近なもので、自然と料理の世界を目指していました。調理科のある高校に進学し調理師免許を取ったのですが、実は学校で学んでいくうちに服飾のほうに興味が出てきてしまって。高校卒業後に服飾系の専門学校に進学し、卒業後はパタンナーやアシスタントデザイナーとして働いていました。料理にも通じることですが、たぶん「自分で何かを作り出す」ということが好きなんだと思います。その後、もう一度料理の世界で自分を表現したいと思うようになり、結局「食」に戻ってきました。
 最初からパティシエを目指していたわけではないので、スイーツについては、ほぼ独学です。師がいない、ということについて悩んだ時期もありましたが、今は逆に、型にはまらず自分の感覚を信じていこうと思っています。服飾の仕事で得た、色彩感覚やシルエットへのこだわりは今に活きていますし、経験したことに無駄なことは何一つないんだなと思います。
 「THE FUJIYA GOHONJIN」に来たのは、御本陳藤屋旅館がリニューアルした2006年の、ちょうど1年後くらいでした。「これからみんなで頑張っていこう」という時期に参加することができ、とても充実した日々を過ごさせてもらいました。特に、まだぱてぃお大門内に店舗があったときに発売した「藤ロール」は、長野県産の素材を厳選し、自分なりに試行錯誤しながら作り上げた、思い入れの強いロールケーキです。

チョコレートといえば「平五郎」
と言われるようになりたい。

 その後、一度は藤屋から離れたのですが、縁あってお声を掛けていただきました。ちょうど「自分の力を試したい」と考えていた時期でもあったので、思い切って長野に戻ってきました。今は「パティスリーHEIGORO本店」「平五郎MIDORI長野店」「THE FUJIYA GOHONJIN」のすべてのスイーツを監修しています。
 「パティスリーHEIGORO」では、オープン当初は若気の至りで、かなりモードなインパクトのあるケーキも作っていたのですが、年を追うごとに自然に近い色彩で上品に仕上げたものが多くなりました。味も、香りと甘さの調和を考え、軽すぎず重すぎず、「2個くらい食べられそう」と思えるくらいのバランスにこだわっています。
 そのかわりといっては何ですが、毎年発表する新作のクリスマスケーキは、自分の1年間の経験をすべて注ぎ込んで作っています。今年のクリスマスケーキのお勧めは「チョコレート」。自分自身、今年はチョコレートを突き詰めた1年であり、ショコラティエとしてやっていこう、と道を決めた年でもありました。実はもうじき「ワールドチョコレートマスターズ」の国内予選大会があるんです。書類審査が通ったので、挑戦してこようと思っています。会社も応援してくれるので感謝しています。
 チョコレートは本当に奥が深くてまだまだ勉強することばかりですが、いずれは長野でチョコレートといえば「平五郎」と言われるようになりたいと、大きな夢を掲げています。クリスマスが終われば次はバレンタインデー。ショコラティエとしての本領を発揮できるよう、今からアイディアを練っているところです。

(2017年12月号掲載)