• 一人ひとりの思いが
    いつしか大きなうねりとなって
    須坂のまちに
    新しい風を起こしています。

      • 信州須坂フルーツエール推進協議会 事務局
        (須坂市産業振興部 産業連携開発課)

        山岸 和幸

        Kazuyuki Yamagishi

      • 信州須坂フルーツエール推進協議会
        事務局(須坂市産業振興部 産業連携開発課)
      • 須坂市大字須坂1295-1 シルキービル2階
      • 026-248-9033
      • http://suzaka-fa.com/
      • sangyo@city.suzaka.nagano.jp

毎日が新しいことの連続
そこから見えてきたものがある。

 須坂市のある職員の、「須坂には美味しい日本酒やワインはあるから、ここにビールが加われば最高じゃないか」という一言から始まった「須坂の果実と水を活かしたフルーツエール」プロジェクト。初めて話を聞いたときはびっくりしましたが、確かにこれなら、果樹栽培の振興ができ、須坂市の活性化にも繋がる。さらに全国に向けて須坂市をPRする新しいブランドを立ち上げられるのではないか、と期待に胸が膨らみました。
 地方創生加速化交付金事業が採択された時点でまず始めにやったことは、「ビールの造り方」の本を読むこと。それくらい何も知りませんでしたが、プロジェクトの中核を担えることが嬉しかったですね。平成28年の9月に、地元の商工会議所やJAをはじめとする有識者を集めて「信州須坂フルーツエール推進協議会」を立ち上げたんですが、最初はなかなか足並みが揃いませんでした。けれどもいろいろな方からアドバイスをいただき意見交換をするうちに、大きな方向性というか、実現に向けた「うねり」のようなものを感じられるようになったんです。
 その根底にあったのは、プロジェクトに関わった一人ひとりの「須坂の良さをもっと伝えたい」という熱い思いだったと思います。話が具体化していく中、協議会のメンバーでJAの研究機関の「長野県農村工業研究所」に勤務し、農産物の加工開発に携わっていた深井さんが、「俺が醸造をやってみたい」と手を挙げてくださったのも、そんな熱い思いがあったからだと感謝しています。「味」のキーマンが決まったことで、フルーツエールの開発・販売実現に向けた動きは、より一層活発化し、加速していきました。

爽やかな果実と清涼な水で
新しい須坂の「逸品」が誕生。

 試飲と醸造を繰り返し、「これならいける」という「味」が決まったのは、平成29年8月のことでした。ビールならではのすっきりとした味わいと喉越しに、ふわりと感じるりんごの甘みと香り。どちらかに偏るのではなく、絶妙なバランスでフルーツエールらしい味わいに仕上がったと思います。アルコールが3%なので、お酒やビールが苦手な方にもお勧めです。須坂市内で採れたりんごと名水を使って醸されたフルーツエールは、まさに「須坂の味」そのもの。須坂ではその昔、ホップを作っていたこともあったそうなので、このプロジェクトが発展していけば、ホップや麦も須坂市内で生産し、完全須坂産のフルーツエールを造ることも夢ではないかもしれません。
 発売当初は樽で卸していたので店舗でしか味わうことができませんでしたが、今年の4月6日から330ml瓶の販売も開始しました。取り扱っていただける酒店や飲食店も増え、お土産としてMIDORI長野の信州くらうどや、ながの東急百貨店地下のリカーショップでも好評をいただいています。現在は製造が追いつかないくらいなのですが、これに甘んずることなく、新商品の開発や新たな販促展開についての検討が始まっています。
 プロジェクト始動から発売まで2年余り。行政主導のプロジェクトでありながら、ここまで早く「信州須坂フルーツエール」が実現できたのは、メンバーそれぞれが、自分の領域を少しずつ超えてお互いにフォローし合い、できることをやっていこうと動いた結果だと実感しています。地域の飲食店をはじめ、多くの方たちが積極的に協力、参加してくださったのは本当に嬉しかったですね。いろいろな方とのご縁があって「信州須坂フルーツエール」が今、ここに在るのだと思います。そのご縁を大切に、これからますます「信州須坂フルーツエール」の存在を多くの方に知っていただきたいと願っています。

(2018年7月号掲載)