• 長野の地で、
    自分の「得意」を活かして
    子どもたちのために
    できることがある。

      • 株式会社アソビズム
        代表取締役

        大手 智之

        Ote Tomohisa

      • アソビズム 長野ブランチ
      • 長野市桜枝町893 飯田館
      • 026-238-6780
      • アソビズム 横町LABO
      • 長野市横町210
      • アソビズム
      • https://www.asobism.co.jp/
      • 未来工作ゼミ
      • https://www.futurecraft.jp/

長野に来てから
やりたいことが増えました。

 自分が得意なこと、やりたいことを仕事にしようとゲーム制作会社「株式会社アソビズム」を立ち上げてから10年。5歳と2歳になる子どもたちをどんな環境で育てていくべきなのかを考えているときに紹介されたのが、長野にある幼児教室でした。夏の登山イベントに参加した時に、園長先生のまるで魔法のような声かけで、子どもたちが自分からどんどん登っていく姿を見て感動し、ここで子育てをしたいと思いました。と同時に、自分の仕事の環境も、もう東京じゃなくてもできるんじゃないか、逆に長野だから見えてくる新しい可能性もあるんじゃないか、と思ったんです。それで思い切って長野に移住し、5年前に長野ブランチを立ち上げました。
 長野ブランチでは「未来工作ゼミ」というICT共育事業を仕事の柱としています。最初の一歩は、小布施町にある浄光寺さんで、プログラミング教室を開催しました。その際に意識したのは、「教える」のではなく、「引き出す」こと。子どもって自分がやりたいと思うことには、ものすごい集中力を発揮します。だから「プログラミングっておもしろい」と思えるような環境づくりを心がけました。そうしたらどの子も自分からどんどん学んでいくし、なにより楽しそうだったんです。その姿を見て、自分の「得意」を活かすことで子どもたちのためにできることがある、と確信しました。

リアルな原体験こそが
自分で考え、学べる人間を育てる。

 さらに、思考力や想像力を育てるためには自然の中での原体験が大切なのではないかと思い、毎年夏に「サマーアドベンチャーキャンプ」を開催しています。今年で5回目を迎えましたが、年々パワーアップしていますね。ダイナミックにモノづくりを楽しむことで、子どもたちが大きく成長する姿を見ることができ、本当に楽しいです。
 また、「子どもたちが日常的にモノづくりを体験できる場所」を長野につくりたいと思い、倉庫をリノベーションして作ったアソビズム横町LABOに、今年の6月に「PLAY&CRAFT(プレイ&クラフト)」をオープンしました。LABOの2階スペースには、2つの工作室を用意。「プリミティブクラフトルーム」には、ダンボールや絵の具、手芸用品などが揃えられ、はさみやカッターなど自分の手を使ってモノを作ることを楽しみます。「テッククラフトルーム」は、もう少し発展して工具などを使ったモノづくりができます。子どもたちは、ここでは自分が作りたいモノを作ります。周りの目を気にしなくていいし、褒めてもらおうとか、喜んでもらおうとか、考えなくてもいいんです。自分の中から湧いてくるものを作るとき、子どもたちは集中し、また自分が納得できるモノを作るために人に意見を求めたり、工夫するための知識を得ようとします。
 これこそが、本当の意味での「学ぶ力」だと思います。経験を通して学び方を覚えると、子どもたちは思考力や想像力をフル稼働させて、興味のあることにどんどん向かっていくようになります。彼らの感覚を信じ、見守ることが私たちの仕事なのだと思います。
 新たな取り組みとして、「ブートストラップ少年団」(略:ブースト団)という総務省の「地域におけるIoTの学び推進事業」実証事業も始まります。これは、プログラミングを教えたいという意欲のある人を支援する事業です。ブースト団が増えて、子どもたちが自ら学びたいと感じられる場がどんどん広がるといいなと思っています。

(2018年11月号掲載)