• 皆さんは「働き方改革」という言葉を耳にしたことがありますか。
    誰もがイキイキと働ける社会をつくるために
    私たち一人ひとりが、「働くルール」を知ることで、
    雇用する側もされる側も気持ちよく働ける環境づくりを目指しましょう。

Q. 最近、母の認知症が進んだようです。デイケアに預けたいのですが、始業までに出勤できません。
年休も大分使ってしまったので、欠勤になってしまうのでしょうか。

A. ご質問のケースのために整えられたのが、「育児・介護休業法」です。この法律によって定められた「介護休暇」は、要介護状態の対象家族を介護する必要がある方であれば、正社員はもちろん、アルバイトやパート、派遣社員や契約社員も取得することができます。
 ここでいう「対象家族」とは、配偶者(事実婚含む)・父母・配偶者の父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫のことを指します。その他の場合は、会社に相談してみましょう。
 取得できるのは、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)までとなっています。「要介護状態」というのは、身体上もしくは精神上の障害や疾病により、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態のことを指します。「要介護状態」とは、介護保険の要介護2か、認定を受けていなくても日常生活のさまざまなことが一人では困難な場合です。詳しくは長野労働局にお尋ねください。
 また、「介護休暇」は食事や排泄といった直接的な介護のほか、通院の付き添いや介護サービスの適用を受けるために必要な手続きの代行など、必要な世話をする場合でも取得できます。半日単位で取得でき、企業によっては時間単位で取得できる場合もあるので、確認の上、積極的に活用しましょう。
 ただし企業によっては介護休暇に関する労使協定を締結し、適用除外となる場合があります。雇用期間半年未満、週所定労働日数2日以下の方は、労使協定があるか確認しましょう。
 「介護休暇」の申請を出されたら、会社は拒否することはできません。また、介護休暇を取得することで、解雇や降格、取得した分以上の減給、賞与の削減といったことも法律で禁止されています。家族の介護は、誰にでも起こりうることですので、介護に関するさまざまな制度をうまく活用して、仕事と介護を両立させることができるといいですね。何かわからないことがあれば、長野労働局までお気軽にご相談ください。

Q. 急に父が倒れ、入院していましたが、半身不随のまま退院することになりました。
仕事を続けながら在宅介護をするには、どうしたらよいでしょうか。

A. 介護する側が倒れると、より深刻な状況になるため、まずはお住まいの「地域包括支援センター」に相談し、自分たちだけで抱えこまないことが重要です。また、介護することを隠さずに会社側にもきちんと伝えることで、仕事を辞めずに続ける方法を考えましょう。
 介護が長期化する場合に検討したいのが、「介護休業」です。
介護休業は、要介護状態である対象家族1人にあたり通算93日まで取得可能で、3回まで分けて取得することができますから、リハビリ専門病院への転院前のつなぎとして在宅介護を行うことも可能です。ただし、有期雇用契約の場合(パート、契約社員など)は、雇用期間1年以上で、休業開始から93日と6ヶ月の間に雇用契約が終了し更新がない状況でないことが必要です。
 介護休業の申出は休業開始予定日と終了予定日を明確にして、休業に入りたい日の2週間前には会社に書面で提出しましょう。たとえ就業規則になくても、会社は拒否することはできません。
 介護休暇と違って長期間取得できる介護休業ですが、その間は給与がないことが多く、経済的には厳しい状況になる場合もあるかと思います。そんな時に利用したいのが、「介護休業給付金制度」です。
 介護休業給付金制度は、介護休業開始日前2年間に、11日以上働いた月が12ヶ月以上ある雇用保険加入者であれば申請することができます。ただし、65歳以降での介護休業開始や、介護休業開始時点で介護休業後の離職が決定している場合は支給対象になりません。
 介護休業給付金の申請は、例外を除いて事業主が行います。休業開始予定日と終了予定日を明確にして、休業に入りたい日の2週間前には会社に申請を出しましょう。
 給付金は、「休業開始時の賃金日額×支給日数×67パーセント」が支払われます。お給料の約3分の2が支払われると考えればよいでしょう。ただし、給付額には上限があります。賃金月額の上限が49万5000円と定められているので、支給額の上限はこの67パーセントの33万1650円となります(2019年7月31日までの額)。また、給付金は介護休業期間終了後に支払われるため、期間中に給付金を使えるわけではありませんので注意しましょう。
 さらにもしも介護休業などを取得しようとして上司や同僚から嫌がらせを受けた場合には、事業主はこれを防止する責任があるので、人事に相談してみましょう。
 「介護休業」等をはじめとするさまざまな制度がもっと活用されることによって、仕事と介護を両立することができる社会になるよう、私たちも努力していきます。介護に関する制度のお問い合わせは、長野労働局までお電話ください。

(2019年2月号掲載)

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