• 皆さんに愛される
    身近な動物園として
    これからも
    歴史を重ねていきます。

      • 長野市城山動物園 飼育スタッフ

        山田 高裕

        Takahiro Yamada

      • 長野市城山動物園
      • 長野市上松2-1-19
      • https://johyama.com/

ずっと思い描いていた
夢を地元で叶えて。

 小さい頃から動物が大好きで、よく親と一緒に城山動物園に遊びに来ていたんです。入口を入ってすぐ目の前にいるアシカにまずは挨拶して。猿山を走り回るニホンザルの親子や、いろいろな種類の鳥たちを巡って見られる城山動物園は、自分にとって特別な場所でした。
 中でもアシカは特に好きで、中学生や高校生の頃にもふらっと城山に来ては癒されていましたね。いつしか自分も飼育員になりたいという夢を抱くようになり、アシカなどの海生哺乳類のトレーナーを目指して専門学校に進学しました。その後、良いご縁をいただいて城山動物園に就職。まさか子どもの頃に夢を描いた場所に戻ってこられるとは思っていなかったので、本当に嬉しかったです。
 今は就職して2年目。アシカの担当は1年が経ったところです。現在、城山動物園にいるアシカは、カリフォルニアアシカのシュンと、ドレミの2頭。オスのシュンは7月で16歳になり、体も大きく泳ぐ姿は迫力満点です。ドレミは2019年の10月に茨城県の大洗水族館から城山にやってきました。9月で3歳になるメスで、まだ若く、体の小さな可愛らしいアシカです。
 アシカ担当になったばかりの頃は、シュンもドレミも警戒して近づいてこなかったですね。アシカは頭がいいので、まずは自分を認識してもらうところから始め、徐々に信頼関係を築いていきました。

歴史ある動物園を
多くの人に楽しんでもらいたい。

 現在は、午前11時からと午後3時半からの2回、「お食事タイム」としてエサやりとハズバンダリートレーニング、技の練習の様子を披露しています。
 ハズバンダリートレーニングとは、動物が体に触られることに抵抗を感じず、自ら協力できるようにすることです。体温測定、採血などの健康管理や、具合が悪くなった際の医療行為をスムーズに行えるようにするためのトレーニングで、体全体を触ることで、毛質の状態や目や口などのチェックも行います。
 エサは丸ごとの魚。わざと遠くに投げるので、泳ぐ様子も見られます。シュンがエサを追う姿は迫力がありますよ。水しぶきが大きくあがるので、小さなお子さんはびっくりしています。シュンは人によく慣れているので、キャッチボールもお手のもの。プールの外と中でボールを投げ合います。また、プールに隣接して設置した特設の通路まであがってくるため、体の大きさを近くで見ることもできます。アシカを直に近くで見られるのは珍しいと思います。
 ドレミは体が小さい分、すばしっこい感じですね。若いせいか集中力が続かないことも多く、一度覚えた芸もその日の気分で適当にやったりと、ちゃっかりしています。それでも、「回る」や「輪投げ」「ボール」などは経験を積むことで、できるようになりました。次は「逆立ち」にチャレンジしたいと思っています。ワンランク上の技なので先は長いですが、ドレミと一緒に頑張りたいと思います。ドレミはシュンのお嫁さんとしてやってきたので、来年あたりはお見合いかな。2年後くらいにシュンとドレミの赤ちゃんが生まれると嬉しいですね。
 城山動物園は、今年の8月20日で開園60周年を迎えました。記念すべき年に飼育員として、お客様を迎える立場に立っていることを嬉しく思います。これからも、もっともっと多くの皆さんに城山動物園を訪れていただけるよう、SNSなども活用して情報を発信していきたいと思っています。動物園は小さなお子さんからお年寄りまで、みんなが楽しめる場所。ゆったりのんびり散策しながら、動物たちに癒されてください。

(2021年10月号掲載)