
いろいろな人や
異業種が集まることで
起きる「揺らぎ」が
やがて地域に伝わっていく。
代表取締役 倉石 智典
Tomonori Kuraishi
長野市の東町に拠点を構え、「空き家の未来をデザインする」をコンセプトに、リノベーションを手掛けるようになってから、早いもので10年以上経ちます。長野市内の「空き家」をキーワードに、貸したい人と借りたい人をつなぎ、不動産の枠を超えて設計、施工、さらには経営や商売の相談まで、あらゆることを手掛けてきました。
善光寺へと続く中央通り、犀北館へと向かう横道の右側に、NTTのビルがあります。ここは、長野県の電話交換業務開始の地であり、敷地内には記念碑も建っています。きっと当時は花形といわれた交換手の女性たちで賑わう、長野の中心地だったんでしょうね。善光寺を核とした門前町の華やかな様子が目に浮かびます。地域の方に聞くと、その後は電報局としても活用されていたとか。時代の変化や技術の進歩によって大きな設備が必要となり、やがて活用されなくなっていったそうです。
許可をもらって見学させていただき、ビルの奥にある倉庫や駐車スペース、建物の堅牢な作りや土地が持つストーリーを知るごとに、このビルをリノベーションした後のイメージが自分の中でどんどん広がっていきました。これだけのスペースがあれば、いろいろな企業が集まって、それぞれがゆるやかにつながり合える場になるのではないか。移住や起業をめざす人が、その夢を実現させるためのあらゆるサポートを受けられる拠点にできるのではないか。そんな妄想が膨らんでいったんです。
現在R︲DEPOTは、地域の方や学生さんにも運営に関わっていただき、オープンに向けて準備を進めています。(2022年4月号掲載)