長野市篠ノ井に本社を構える、柄木田製粉。昭和14年の創業以来、長野地域の製粉会社として、地域の皆さまに安心してご利用いただける商品を提供し続けてきました。現在、長野県内で県産小麦を製粉している企業は、柄木田製粉1社のみ。地域と連携し、県産小麦を盛り上げるべく力を尽くしています。「蕎麦朧」に使用している小麦も、長野県産100%。地産地消を目指す旬彩菓たむらにとって、なくてはならないパートナーです。今回は、社長である柄木田豊さんにお話を伺いました。
旬彩菓たむらを代表する菓子である蕎麦朧は、長野県産の上質な小麦粉、戸隠産の最上級蕎麦粉、和三盆、カルピスバター等を用い、一つひとつ手作業で丁寧に仕上げた、たむらオリジナルの和菓子です。
長野県、とくに北信地域は古くから粉物の文化が発達してきました。米は年貢として納めるものですから、日常の食事は小麦粉が主流。郷土食となっている「おやき」や「こねつけ」、「にらせんべい」などは、かつてはどこの家庭でも作られていました。私たちはこの食文化を守り、長野県産の小麦を地域に届ける使命があると考えています。特に子供たちには、地元の安心・安全な小麦粉を食べて育ってほしい。長野県の食文化を伝えるとともに、地元にこんなに素晴らしい小麦があるということを知ってほしいと願っています。
旬彩菓たむらさんの銘菓「蕎麦朧」に、当社の県産小麦を使用していただくようになったのは、平成30(2018)年のことです。「長野に店を構える和菓子店として、できるだけ地域の食材を使用することで地元に恩返しをしたい。と同時に、長野にある和菓子店だからこそ作れる唯一のものを作りたい」というご要望に、身が引き締まる思いでした。既に商品化されていた「蕎麦朧」の味を落とすことなく、さらに良くならなければ県産小麦に変える意味がありません。納得のいく味に仕上がるまで、さまざまな県産小麦で試作が繰り返され、その情熱に職人魂を感じました。
(2023年10月号掲載)