
命をつなぐ「水」を届ける
縁の下の力持ちとして
人の暮らしを支える
存在でありたい。
2015年の国連サミットで「SDGs」が採択され、2030年までに達成すべき世界共通の目標が示されてから、今年で11年。私たちは、持続可能な社会へと舵を切れているのでしょうか。
このシリーズでは、さまざまな課題解決のために、長野の企業や団体がどんな取り組みを始めているのかをご紹介します。今回は、株式会社日邦バルブの管理本部 部長である羽多野利勝さんにお話を伺いました。
近代の水道事業発展の
一翼を担って。
明治16(1883)年、創業者の中村弥門次が「銅屋」を立ち上げ、製糸工場の「工女カラン」と呼ばれる水道の蛇口を製造したことから、日邦バルブの歴史は始まりました。
その後、近代水道の普及に伴って分水栓や止水栓、各種継手や不凍栓など、多種多様にわたる水道用バルブの専門メーカーとして地位を確立。日本水道協会(JWWA)規格のバルブを全国販売し、昭和43(1968)年には、水道業界で初めてJWWA指定の検査工場に認定されました。人の命に直結する「水」を安全に届けるため、素材から製品まで一貫した自社生産体制を構築し、変化するニーズに応える開発力、技術力の向上に日々取り組んでいます。
中でも「メータバイパスユニット」は、我が社の力を結集して開発した製品です。90年代、マンションなどの集合住宅はタンクを設置して水を給水する受水槽方式だったのですが、タンクの中からネズミの死骸が見つかるなど、衛生面が課題となりました。そこで地中の配水管から直接水を給水できる増圧直結給水方式に切り替えられないかということになり、2年以上の歳月を掛けて「メータバイパスユニット」を開発。メーター交換の際に、予め設置したバイパス管に一時的に水が通るようにすることで、断水せずにメーターを替えられる画期的なシステムを構築し、現在も全国でご利用いただいています。
東日本大震災を経て
自分たちができることを模索。
「水」は、私たちが生きていく上で、命をつなぐ重要な存在です。毎日の暮らしの中で、蛇口をひねったらきれいな水が出るのが当たり前であるよう、縁の下の力持ちとして支え続けるのが私たちの誇りです。どんな状況下でも「水」を届けられるよう、自分たちにできることは何かを常に模索し続けています。
その取り組みのひとつが、災害時に強い製品の開発です。東日本大震災の際に給水管分岐点の被害による断水が多発していたことを知り、地震でも壊れにくい分水栓の開発に着手しました。柔軟な発想で開発した「耐震型サドル付分水栓」は、地震の際に給水管を接合したサドル上部が回転することで、配水管の位置がずれても給水管に過度な負荷がかからず、能登半島地震の際にはその機能が有効に働き断水を回避できた家が実際にありました。地震が多い日本の社会課題解決のための一助となる製品だと自負しています。
また、「メータバイパスユニット」に、応急給水の機能を追加した「応急給水機能付きメータバイパスユニット」も、災害時を想定して開発した製品です。役場や病院など、災害時に優先的に復旧される配水管路近傍の施設にこのユニットを取り付けておくことで、断水してもバイパス管に直接消防用ホースをつなげて応急的な給水ができます。能登半島地震の際、ユニットを設置していた中能登町役場が拠点となり、近隣の七尾市に水を届けられたことで、生活用水の不足を最小限にとどめることができました。この結果を検証し、これからも災害時に対応できる製品を積極的に開発していきたいと思っています。
このほかにも、遠隔操作によって水道の開閉ができる「スマートバルブ」稼働に向けた実証実験を行うなど、さまざまな社会課題を解決するための製品開発を続けています。また、地域貢献として近隣の小中学校や幼稚園のイベント時に駐車場を開放したり、長野県再配達削減キャンペーンに賛同し、荷物の職場受け取りを可能にするなど、さまざまな角度からSDGsに貢献しています。