• 急速な情報化、グローバル化が進む現代、
    日本における教育の在り方が議論されています。
    新しく変わろうとしている教育改革のその本質は何なのか、
    ベルーフアカデミー教務チーフ鈴木崇仁氏にお聞きしました。

大きく変わる大学入試改革 その目的は

 最近、「大学入試改革」ということばをよく耳にするようになりました。しかし明確に決まっていないことも多いため、よくわからないという方も多いと思います。けれど2019年にセンター試験が終了することは既に確定している今、小・中学生をお持ちの親御さんにとっては、決して他人事ではありません。単に制度の改革ということだけではなく、なぜ変えようとしているのか、その目的を理解した上で、お子さんの今後の教育について考えることが大切です。

今の小学校5年生が 完全移行初年度になる予定

 現時点で大学入試制度が大きく変わるのは、この春小学校5年生になった子どもたちが大学受験を迎える2024年からだといわれています。今、高校1年の学生たちがセンター試験の最後の年にあたりますので、それより下の中学3年生から小学校6年生までが、いわゆる移行期間の世代です。
 では、入試制度はどう変わるのでしょうか。もっとも大きな変化は、パソコン、もしくはタブレットによるAIを導入した「学力評価テスト」が行われることです。時間制限がある中で問題を解くわけですから、今の小5以下のお子さんは、ブラインドタッチができないと試験になりません。

AI導入による「学力評価テスト」とは

 では、AIが導入される「学力評価テスト(CBT―IRT)」とはどんなテストなのでしょうか。
 例えばAさんとBさんがこのテストを受けたとします。1問目は同じ問題が出ます。そこでAさんは正解、Bさんは間違えたとします。すると2問目から、AさんとBさんの解く問題が変わる可能性があるのです。それは、AIが解答を瞬時に判断し、蓄積された膨大なデータの中から個々の「学力」を見極めるために、それぞれに適した問題を出題するからです。
 CBTはコンピューターベースドテスト。IRTは項目反応理論の略です。つまり、出された問題に対する解答からAIが次の問題を判断して出題し、総合的に学力を評価するテストになる、ということです。

新しい評価方法はどうなるのか

 従来のセンター試験では0点から900点まで1点刻みで数値化できました。しかし新しいテストでは解く問題が全員違うわけですから、単なる合計では評価できません。現時点では大きく10段階に分け、さらに段階ごとにAとBの2つに分ける20段階で評価するのではないか、といわれています。例えば「10―A」と評価されたら東大を受けていいですよといったように、評価ゾーンごとに受けられる大学が決まることになります。

学力評価テストの目的とは

 では、新しい「学力評価テスト」ではどのような問題が出題されるのでしょうか。
 このテストの原型は、県立中学校の適性検査です。初見の資料を読み取って与えられた課題を解決するというもので、従来の知識偏重型テストではなく、「思考力」が試されます。
 この流れは、この春の高校入試にも既に現れています。「社会」で出された社会保障の問題は、まず自分の立場を決めて、与えられた資料を読み取った上で自分の意見を書きなさいというものでした。この問題にいわゆる正解はありません。出題者は、学生が資料を正確に読み取って自分の意見を書けるかを見たいわけです。「読み取る力」「考える力」「書く力」が必要です。
 つまり文科省は、今までの知識偏重の「学び」から、思考を働かせる「学び」にシフトすることで、課題解決型の人材の育成に力を注ぎたいと考えているのです。入試制度の改革のみが大きく取り上げられていますが、そういった人材を育てるために、高校、大学での教育改革も同時に進められています。思考力のある人材に大学で学んでほしい、そのための入試改革なのです。

絶対に浪人できない高校1年生と小学校6年生

 いずれにしても、現在の小・中・高校生は、制度改革の影響を大きく受けることになります。
 特に、現在高校1年生と小学校6年生の子どもたちは、絶対に浪人できない世代となります。それぞれに入試制度の最終年度にあたり、新制度に移行した際の代替措置はないと思われるからです。しかも新制度に向かって出題傾向は試行されるわけですから、それはもう堅い選択をするしかありません。また移行期間の子どもたちも大変です。過去の出題傾向が全く当てはまらない中で、移行期間のテストを受けなければなりません。
 小学校のお子さんを持つ親御さんは、まだ大学受験に対する危機感は、ほとんど持っていない状況だと思います。しかし今後は情報をしっかり把握し、どんな教育が子どもに必要なのか、真剣に考えなければならない時代がきています。先のこととは思わずに、ご家族で話し合ってみることが大切です。

(2017年7月号掲載)

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