• 体の一部を提供してくださっていること。
    その「思い」を真摯に受け止め
    おひとりおひとりと
    きちんと向き合っていきたいんです。

      • 長野県赤十字血液センター

        長野献血ルーム 看護師笹岡 紀子

        Noriko Sasaoka

      • 長野県赤十字血液センター 問御所出張所(長野献血ルーム)
      • 長野市問御所町1271-3 TOiGO WEST 2階
      • 026-219-2480
      • http://www.nagano.bc.jrc.or.jp/

人のために
自分ができることを。

 祖父が歯医者さんで、小さい頃からよく遊びに行っていました。訪れる患者さんたちに親身になって優しく接している祖父や祖母の姿を見て育ったので、自分が進路を決める時に看護師を選択したのは、自然の流れだったのかもしれません。辛い思いをして来院している患者さんたちに寄り添う姿に、自分も人のために何かをできる仕事がしたい、と思うようになりました。
 資格を取って、最初は一般の病院に看護師として勤めました。その後若干のブランクを経て、4年前からTOiGOの2階にある長野献血ルームで働いています。病院には具合の悪い方が治療に来られますが、献血ルームは健康な方をお迎えします。以前は患者さんに感謝される側でしたが、採血係として献血してくださる方々に感謝する仕事に変わったことで、今、新たなやりがいを感じています。
 長野献血ルームには、さまざまな「思い」を持った方が訪れます。CMを見て初めて来られた学生さんや、職場に来た献血バスで初めて献血して、それから定期的に来てくださる会社員の方、災害のニュースを見て自分にできることを、と来られた方。そのどれもが、「優しい思い」であることは間違いありません。その「思い」を大切に受け取り、病気や怪我で輸血が必要な患者さんに、血液とともに「思い」を届ける仕事をしているのだと誇りを感じています。だからこそ、献血に来てくださった方、おひとりおひとりと真摯に向き合い、心を込めて献血のお手伝いをしています。

もっと気軽に、そして安心して
献血していただけることを目指して。

 今、長野献血ルームには年間を通して1日平均、約50名の方が献血に来てくださっています。けれど、全国では1日平均で約3千人もの患者さんが輸血を受けているのです。また、血液の有効期間は短く、赤血球製剤で21日間、血小板製剤では4日間しか保存することができません。
 そんな中、人口の減少に伴って、10代から30代の献血者は、2007年の約283万人から、2016年には約195万人へと、ここ10年で31%も減少しています。これからますます若い世代の人口が減少していく一方で、輸血を必要とする高齢者の割合は増えることが予想されるため、今まで以上に皆さまに献血へのご協力をお願いしていかなければと思っています。
 南県町にあった長野県赤十字血液センターの移転に伴って4年前にTOiGOにオープンした長野献血ルームは、街の中心地にあることで誰にでも気軽に立ち寄っていただけるようになりました。まるでカフェのようにくつろげる空間は、ギャラリーがあったり雑誌や漫画本があったりと、ゆったりとリラックスして過ごしていただけます。献血のあとに水分をたっぷりとって休息していただくことも、身体のためには大切なことなのです。私も、訪れてくださった献血者の皆さんが、不安を感じることなく安心して献血していただけるよう、心を尽くしていきたいと思っています。
 

(2017年9月号掲載)