• 今の日本にはさまざまな「働き方」があります。
    働く私たち自身が、働く人間の持つ権利を「知る」ことで、
    地域全体がもっとよい社会になる。
    そのために必要な知識について
    長野労働局、雇用環境・均等室の川崎室長に伺いました。

時代とともに多様化した「働き方」

 子どもから大人になる一番の違いは「働く」ということでしょうか。私たちは大人になると、ほとんどの人が何らかの形で働くようになります。
 昔は正社員として会社に入って働くことがほとんどでしたが、時代とともに「働き方」も変わり、今は正社員だけでなく、派遣社員や契約社員、パート、アルバイトなど、さまざまな雇用形態で私たちは働くようになりました。

私たちは「労働契約法」で守られています

 働き方が多様化し始めた平成の時代。その過程では、パートやアルバイトが使用者の都合で辞めさせられたり、大企業が大量の派遣社員を雇い止めするなど、「雇用の形態」による職の不安定さが大きな社会問題になりました。そこには、雇用する側が「偉く」て、雇用される側は雇われている、もしくは雇ってもらっている、という古い視点があったことは否定できません。
 そこで、どのような雇用形態であっても双方の「契約」のもとに働くルールを取り決めましょう、と定めたのが平成20年3月から施行された「労働契約法」です。この法律は、正社員だけなく、契約社員でも、パートでも、どんな雇用形態でも、私たち働く人間が全員、「契約」のもとに雇用側と対等な関係であることを守ってくれるものです。

労働契約法改正による 無期転換ルールをご存知ですか

 その「労働契約法」が改正され、平成25年4月1日から新たに施行されました。
 今回の改正で大きく変わったのが、「無期転換ルール」です。これは、契約社員やパート、アルバイト、派遣社員など、ある一定の期間を区切って会社と契約を交わして働いている人たち全員が、きちんと知っておくべきルール改正です。
 では、どんなルールなのか。それは「自分の有期労働契約が5年を超えて更新された場合は、申し込むことによって期間を定めない無期労働契約に転換できる」というものです。つまり契約更新なくずっと働き続けられるようになる、ということです。
 皆さんの中には、もうずっと長く、同じ会社でパートや契約社員として働いている方も多いと思います。よい関係の中で働いていればいるほど、契約更新時もほぼ「自動的」に、あまり確認もせずに契約更新をされている方もいるのではないでしょうか。
 けれど、これは雇用する側にとっても働く側にとっても、実はとても不安定なものです。企業の業績によって契約が切られるかもしれない、と思えば働く側のモチベーションは下がりますし、企業側も予定していた人員に契約更新時に辞められてしまうというリスクがあります。無期労働契約に転換することで、企業側は会社のことをよく知っている人に長く働いてもらうことができ、長期的な視点から人材戦略、経営戦略を考えることができるようになります。働く側も、長期的な視点で自分のキャリアを考えられるようになり、今まで以上に積極的、意欲的に働くことができるようになるのではないでしょうか。

無期転換は、多様な働き方を広げます

 無期労働契約に転換して働くということは、正社員と同じように働かなくてはいけないのかと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。無期労働契約への転換は、あくまで有期だったものが無期になるということであって、それ以外の労働契約は、その企業が定めたそれぞれの雇用形態によって違うのです。
 企業側も今、無期転換ルールに対応するために、これまでの雇用の形態を見直し、さまざまな区分ごとに任せる仕事を整理して、それぞれの区分ごとに適応する労働条件を整えようとしています。
 逆に、無期転換について告知されない、契約内容を勝手に変えられた、などがあった場合は労働局にご相談ください。

対象期間は、平成25年4月1日以降から

 では、いつから無期転換の申し込みができるようになるのでしょうか。注意すべき点は、この法律は平成25年4月1日に施行されているということです。ということは、それ以降からの契約が対象になります。例えばこれまで10年以上毎年4月1日に1年契約を更新していても、平成25年4月1日以前のものは対象期間に入りません。1年契約の場合、平成25年4月1日からカウントされ、平成30年3月31日に次年度の契約更新を行って4月1日を迎えた時点で無期転換の申し込みができるようになります。したがって、無期労働契約はさらに次の年度、平成31年の4月1日からになります。
 無期転換は雇用される側、つまり私たち一人ひとりからの申し込みによって初めて転換される仕組みになっています。申し込みをすれば企業はこれを断ることはできません。無期転換申し込み時には、きちんと書面を交わし合いましょう。選択する権利は働く側にあるので、有期のままでいたいという人は有期契約を選択することもできます。

お互いを「知る」ことで もっと会社はよくなる

 私たち「働く人」は、どんな雇用形態であれ、誇りをもって働きたいと思っているはずです。そのためには、労働者の「権利」をしっかりと知ることが大切です。自分の権利をきちんと知った上で、権利に伴う責任もしっかりと理解し、会社とともに、会社や社会に貢献できる働き方を、みんなで考えるべきなのではないでしょうか。

(2017年9月号掲載)

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