• 私たちは、生きている限り、日々誰かと会い、何かを成しています。
    その時々で、自分でも思いも寄らないことに巻き込まれたり、
    大きな壁が立ちふさがることもあるでしょう。
    そんな時に、法律という視点を知っておくことで自分を守ることができます。
    夜明けの翼法律事務所の板谷健太郎先生にお話を伺いました。

トラブルは
必ず解決できます

 司法試験に合格すると、まず「司法研修所」という養成機関で法律家になるための訓練を受けます。その教科の中に「民事弁護」という科目があり、ベテランの弁護士が教鞭をとるのですが、教官が最初の講義で強調した言葉は非常に印象的でした。それは、「解決できない問題はない」というものです。これは、弁護士として13年目となった今でも、心に刻み込んでいる大切な言葉です。私が弁護士として独立するときに、事務所名を「夜明けの翼法律事務所」とし、「明けない夜はありません」とお会いした方々に言っているのは、この師の言葉を信じているからです。
 人間社会で人と関わって生きている以上、何らかのトラブルは必ず発生するといってもいいでしょう。しかし、それらは必ず解決できます。もちろん、すべてが望みどおりの結果になるわけではありませんし、時には「あきらめる」というのも立派な解決です。私たちは、過去は変えられませんが、現在と未来は変えることができます。ですから困難に突き当たったときこそ、つま先立ちをして輝く明日を見るべきなのです。

トラブルは
「失敗」ではありません

 交通事故や離婚を含め、借金問題やご近所トラブル、相続トラブルなど、弁護士が取り扱う問題は無数にあります。こうしたトラブルを抱えた方の中には、「自分は失敗してしまった」「なんで自分だけこんな不幸な目に遭うのだろう」と落ち込む方もおられます。
しかし、いろいろなトラブルに遭うことは「失敗」ではありません。また、必ずしも「不幸」な体験でもありません。人生は「変化」するものです。私は、種々のトラブルは人生がより良い方向に進むための、「変化」だと考えるようにお勧めしています。トラブルを立ちはだかる壁のように思うのではなく、変化するための「扉」だと考えることで、未来に向けてその「扉」を開ける方法を、前向きに考えられるようになると思うからです。

白黒つけるのは
重要ではありません

 もう一つ強調したいのは、白黒をつけるのは必ずしも解決にはならないことが多い、ということです。トラブルや紛争を抱えた方の中には、「自分の方が絶対に正しい」と考えて、白黒つけたいから裁判をしたいという方がおられます。
 しかし、本当に大切なのは「紛争を解決する」ことであって、白黒をつけることではありません。そんな時、私はこんな例え話をすることがあります。
 「ご自分が高速道路を走行していたところ、先方から逆走してくる車両があったとします。あなたは『正しいのはこっちだ』と言ってクラクションを鳴らしながら突進しますか。そのとき重要なのは、『どちらが正しいか』ではなく、むしろ『衝突を避けて身を守る』ことです。どちらが正しいかどうかはさておき、相手の逆走に気がついたなら、自分の方でハンドルを操作して衝突を回避することを優先すべきではないでしょうか」と。
 「裁判」という方法は、国家の紛争解決手続として最終手段であり、公権的、強制的な手続です。しかし裁判は証拠のある方が勝ちますので、必ずしも真実のとおりになるわけではありません。また、民事の法律の多くは、人と人との関係を「調整」するためのものであり、一刀両断にするためのものではないのです。
 つまり、もっとも重要なことは、「どちらが正しいか白黒をつける」ことではなく、「紛争を解決すること」なのです。そのためには多少譲歩したとしても、話し合いで解決することのほうが賢明なことが多くあるのです。

まずは「話し合い」ましょう
~オレンジ争奪事件の教訓~

 トラブルには大きく分けて、「話し合いで解決できる」場合と「解決できない」場合の2種類があります。話し合いで解決できない場合には、所定の手続をとる必要がありますが、紛争の多くは、話し合いで解決できる性質のものです。
 話し合いで解決することを法律用語で「和解」といいます。これは、互いに譲歩をして紛争を「解決する」ことを意味しています。
 法律家は、よく「オレンジ争奪事件」という例えを好んで話します。「姉と妹が1個のオレンジを巡って取り合いをしていました。見かねた父親が2つに切って2人に分けました。すると姉は、中身を捨てて皮だけでジャムを作り、妹は皮を捨てて中身を食べました」というお話です。非常にもったいない話です。最初から、「私は皮が欲しい、私は中身が欲しい」とそれぞれが要求を
出して話し合っていれば、仲良く分け合い、それぞれ1個分の皮と中身をもらえたはずなのです。このように、話し合いで解決することは、双方に有利な結果をもたらすことがあります。
 次回は、交通事故に関する内容や手続について、ご説明します。

(2018年2月号掲載)

夜明けの翼法律事務所

●代表者  弁護士 板谷 健太郎(いたや けんたろう)
 長野県弁護士会所属 弁護士登録番号32683
 弁護士登録平成17年10月4日 司法修習第58期

●業務内容  法律相談 法律事務一般 裁判代理

●安心して相談予約をしていただくため、当事務所では通話料無料の「フリーアクセスひかりワイド」を利用しております。
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