• 日本の美しい食文化を
    世界に伝えたい。
    その思いを胸に
    “ずく”だして頑張っています。

      • 株式会社ミールケア

        代表取締役 関 幸博

        Yukihiro Seki

      • 株式会社ミールケア(本社)
      • 長野市栗田8-1
      • 026-269-8800
      • http://www.mealcare.co.jp

社長になりたいという
気持ちだけで会社を始めて。

 実はこの仕事を始める前は郵便局に勤めていたんですが、当時は若かったので、働くなら「社長になりたい」と、その思いだけで会社を辞めてお弁当屋を開業しました。安定した職を離れるわけですから、当然まわりは大反対。妻も子どももいましたからね。でも最後は理解してくれて、そこから裸一貫で頑張る日々が始まりました。
 次の転機は、弁当屋の事業が軌道に乗った頃のことです。ある施設へお弁当を届けに行ったときに、ふと「ここにいるたくさんの人たちはどうやって食事をしているのだろう。この人たちに食事を提供できないだろうか」と考えたことで、作って売る弁当業から、調理師や栄養士を派遣して食事を提供する「給食受託サービス」へと転換を図りました。とにかく美味しいものを食べていただきたくて、素材にこだわり、食材や盛り付けから季節感が感じられるような食事の提供を心がけました。最初は大変でしたが、実績ができて評判が伝わると、次々と新しい施設から依頼がくるようになりましたね。社員の中にも、「誰かのために役に立っている」という使命感が育ち、誇りを持って仕事に取り組めるようになりました。これがミールケアの事業の方向性と社風が決まった瞬間だったと思います。
 その後、一般の方向けに素材や出汁にこだわったビュッフェレストラン「みーるマ~マ」をオープンしたところ、そこで食事をしたある幼稚園の先生から「ぜひ、みーるマ~マと同じようなメニューで子どもたちの給食をお願いしたい」というご依頼をいただいたんです。

み〜るんヴィレッジを
私たちの使命を体現する場に。

 現在ミールケアは、長野だけでなく首都圏を中心に、350園以上の保育園、幼稚園の子どもたちに給食を提供しています。社員一人ひとりが、たくさんの子どもたちと日々接していく中で自然と生まれてきたのが「食育」への思い。未来を担う子どもたちに、「安心・安全」な食事を提供することはもちろん、「日本の美しい食文化を伝えていきたい」と考えるようになりました。もう「給食」は当たり前で、私たちはこれから、子どもたちをはじめ、先生や親御さんたちに「食を通じた教育」をしていくんだと、新たな使命を感じています。
 そこでミールケアでは「一般財団法人日本educe食育総合研究所」を立ち上げ、信州大学や服部学園、公益財団法人日本環境協会の力をお借りして、「考食師」という資格を策定し、食育のスペシャリストを育てています。「考食師」の資格を取ることで、社員たちも自信をもって子どもたちに食文化やマナーを教えています。
 そんな中、子どもたちと接していて感じるのは、やはり本物に触れる機会が少ないということ。「にんじんが土の中でどんな風に大きくなるのか」自分の目で見て触れて、心を動かした子どもたちは野菜が大好きになります。そこでミールケアでは、実際に農業体験できる場として昨年、レストランやカフェ、ベーカリー等を併設した「み~るんヴィレッジ」をアップルライン沿いにオープンしました。さらに今年の秋には、ここにSLを走らせて、子どもたちを乗せ真っ赤に実ったりんご畑の中を走りたいと思っています。夢はますます広がるばかりです。

(2018年2月号掲載)