日々の暮らしの中に
アートが入っていくような
そんな空間を、私自身の手で
生み出していきたい。

越 ちひろ
Chihiro Koshi
目にしたものを捉え、記憶して描くことや、イメージしたものを表現できるようになったのは、両親の影響が大きかったと思います。父や母は私が小さい頃から美術館や音楽会によく連れていってくれたので、それが今の「越ちひろ」のベースになっていますね。また、四季折々に美しい配色を見せてくれる長野の自然の「色」や、子どもの頃から慈しんでもらった人たちの優しい気持ちの「色」など、長野で育ったからこそ培われてきた「越ちひろの色」があると思っています。
2008年に拠点を長野に移したときに一番強く感じたのは、現代アートが根付いていない、ということでした。巨匠の芸術はもちろん素晴らしいですが、今、生きている作家が、今、その瞬間に生み出していくアートをもっと感じてほしい。日常の暮らしの中にアートが入っていくことで、人生に彩りが生まれると思うんです。(2018年9月号掲載)