• 農業をとりまく環境を
    ITを活用することで
    もっともっと
    良くしていきたい。

      • 株式会社唐沢農機サービス
        代表取締役社長

        唐澤 健之

        Takeyuki Karasawa

      • 株式会社唐沢農機サービス
      • 東御市滋野乙3012-1
      • 0268-62-5262
      • https://www.karasawanouki.co.jp/

いわゆる二代目じゃない
起業家としての可能性を信じて。

 東御市生まれの東御市育ち。高校を卒業した後、プロのスノーボーダーになりたくて世界中のスキー場を巡り、スノーボード漬けの日々を過ごしていました。
 そんな暮らしを2年ほど続けていたある時、知人から「東京で携帯のカメラレンズのベンチャー企業を立ち上げるから一緒にやらないか」と誘われたんです。「東京、外資系、ベンチャー企業、かっこいい」。そんなイメージだけでその会社に入って、そこからはむちゃくちゃ働きましたね。先輩から「誰にでも初めてはある」と言われて、営業からレンズの設計、海外の工場との折衝まで、とにかくいろいろやりました。忙殺の日々でしたが、その経験から経営や起業にも興味が湧き、「自分で事業を起こしたい」という気持ちが強くなっていったんです。
 26歳の時に「次に何かやるなら田舎に帰ってやろう」と思い立ち、地元に戻りました。父が農機具の修理工場をやっていたので、弟と二人で「じゃあこれをベースに何かやってみよう」と、後を継いだんです。
 私は、「10年続くビジネスはない」と思っています。現状維持は退化であり、常に新しいことに挑戦していかなければならない。農機具の修理や販売も、農家さんが儲かっていなければうちも儲からないわけです。じゃあ農家さんが儲かるようにするにはどうしたらいいか、という視点から、新たに「農家直売どっとこむ」を始めました。

ITを活用した新しいプロダクトで
農業業界を活性化したい。

 ECサイト「農家直売どっとこむ」は、立ち上げ当初まったく売れませんでした。他のサイトは売れているのに、うちが売れない理由はなんなのか。その課題を解決するために、自社にITに強い人材を確保するところから始め、PDCAを回しながらマーケティングを学び、サイトのブラッシュアップを重ねていきました。その結果、6年間で売上を約700倍にまで伸ばすことに成功したんです。その時に、自社の「課題」を解決するために蓄積したこのノウハウを、新たなプロダクトとして売ることができるんじゃないか、と思ったんです。そこで、ITを活用して「課題解決」を目指す「ビーズクリエイト」を立ち上げ、新たな事業を始めました。
 自分たちで「農業」をやってみようと思ったのも、成功事例を作ることで、新たに「儲かる農業」のプロダクトを構築したいと考えたからです。
 現在「カラサワファーム」では、信州大学が開発したイチゴを、「信州ごちイチゴ」という商品名で商標登録し、栽培を始めています。「信州ごちイチゴ」のバックボーンからストーリーまでをどう創り上げ、ブランディングし、販売に繋げていくか、すべてが検証です。また、「おいしさ」の根拠を明確にするために、生産工程を数値化する「見える化」にも取り組んでいます。もちろん初めてのことですから失敗もありますが、仮説を立ててPDCAを繰り返すことによって、数値化された生産システムを構築できるのではないかと思っています。
 日本の農業は厳しい状況が続いていますが、もう一度、必ず注目されるときが来ると思っています。その時のために、ITを活用したさまざまなプロダクトを確立し、農業業界全体の活性化をお手伝いできればと思います。
 自分は、いつも同じことをしていたくはないんです。答えは別のところにある。常に自分たちが今やっていることが本当にベストなのかを考えながら、時代とともに変わっていく「課題」を「解決」できる人間であり続けたいと思います。

(2019年2月号掲載)