住職であり桃農家でもある。
地域に生きる一員として
自分にできることを
成していきたい。

小菅 宗真
Soushin Kosuge
東京生まれの東京育ちで、お寺といえばお盆のお墓参りくらい。山口県のサファリランドで動物の飼育員をしていた自分が、まさかお寺の住職になるとは夢にも思っていませんでした。その“まさか”の縁がつながったのが、当時結婚を前提に付き合っていた女性です。圓成寺の住職の孫であった彼女から「住職を継いでくれないかという話があって」と相談されたのがすべての始まりでした。その時に強く感じたのが、仏教という未知なる世界への関心。そうして縁に導かれるままに、新たな世界へと飛び込んだんです。
ちょうどその頃、川中島地域が全国区のブランドとして作り上げてきた川中島白桃の担い手が、少なくなってきているという話を耳にしたんです。それで、自分にできることはないだろうかと考えた時に、「そうだ、桃農家になろう」と思い立ちました。もちろん農業の経験はまったくありません。それでも先代が持っていた畑を継ぎ、家族の協力を得て、さらに地域の皆さんに教えていただきながら、一つひとつ桃農家としての知識を身に付けていきました。檀家さんも桃農家の方が多く、皆さん、住職が桃農家を始めたけれどあぶなっかしくて見ていられないと感じたのか、よく声を掛けてくださって。慣れない中で失敗したり奮闘したりする姿を見せていく中で、地域の皆さんとつながり、住職としても認めてもらえるようになったと思います。(2020年8月号掲載)