• まちのことを
    まちの人たちが
    自分たちで変えていく
    緩やかな輪を作っていきたい。




他の人がやらないことを
やってみることで世界が広がる。

 横浜生まれの横浜育ち。高校時代に文化祭で皆と力を合わせて物を作る面白さや喜びを知り、「ものづくり」に興味が湧いて建築学科のある信州大学へ進学し、長野で暮らし始めました。
 須藤家の教訓は、「他の人がやらないことをやろう」なんです。その教えのもと、「空き家に住んでみよう」と思い立ち、市内で空き家を探し始めたのが大学3年の秋頃のこと。その中で大学の佐倉先生の「まち畑プロジェクト」を知り、「すけろくガーデン」という、地域の方とシェアできる畑の横に建っていた空き家をリノベーションして住むことにしたんです。床も壁も屋根もないような状態でしたが、単なる空き家よりもさらに振り切った物件に挑戦するのは楽しかったですね。自分の暮らしの拠点があると甘えてしまって進まないので、まずはアパートの解約日を決め、それまでになんとか暮らせるようにしようと仲間と一緒に床を貼り、壁や屋根を作りました。手作りの我が家で暮らす中で地域の人たちと交流できたことは、自分にとって得難い経験だったと思います。

起ち上げから関わってきた
R-DEPOTの夢を描き続けたい。

 大学でのプロジェクトとは別に、建築学科の仲間たちと始めたのが、「まるえいラボ」です。最初はフリーマーケットやイベントを企画していたのですが、地域の人たちと関わる中で、「こういうことができないか」などの相談を受けるようになり、外部からの依頼をカタチにしていくことが多くなりました。昨年の秋まで権堂のイトーヨーカドー前広場にあった「GONDO AKIBA BASE」のデッキも、自分たちが手掛けたものです。週末ごとにさまざまなイベントが開催され、まちの人たちが楽しんでいる様子を見ることができたのは嬉しかったですね。
 R-DEPOTとの関わりも、「まるえいラボ」がきっかけです。R-DEPOTには2つの建物があるのですが、そのうちの「付属舎」のほうの改修を、「まるえいラボ」でやってみないかと声をかけてもらって。自分はその時大学院の2年だったので、「まるえいラボ」の活動はすでに後輩にまかせていたのですが、R-DEPOTの活動そのものに興味が湧いて、個人として参加することにしました。その頃はまだR-DEPOTも漠然としていて、何をどう進めていくのかも見えない状況でしたが、だからこそ面白かったですね。今はそれぞれのプロジェクトも稼働し始め、6月からは目に見える形で、地域とR-DEPOTが交流できるようになる予定です。
 近年、地域活性化を目指して地方の「まちづくり」や「エリアリノベーション」が行われることが多いのですが、リノベーションを考えるプロデューサーと、そこで暮らすプレーヤーが違うことに齟齬を感じています。長野の地に住み、空き家をリノベーションして暮らし、地域の人と交流する中で見えてくる「まちづくり」があるのではないか。プレーヤーでありつつ、プロデューサーとして「まちづくり」を考えることで、まちのことをまちの人たちが自分たちで変えていく「まちづくり」の仕組みを構築できるのではないかと思考しています。
 そんな夢を描いて、この春R-DEPOTに入社しました。自分にとって長野は第二の故郷。今は長野のまちづくりに関われることに喜びを感じています。

(2022年6月号掲載)