高校生の笑顔と真摯な姿勢を
愛おしく思う心を形にした
「とらの子どらやき」。

 第3弾となる「どら・セッション」は、長野商業高等学校の生徒さんたちと、アイデア溢れるとても素敵な時間を過ごすことができました。「どらやき」という範疇をはるかに超えた発想は、自分の中には全くないものだったので驚かされましたね。イラストもとても上手で、みんなで時間をかけて考えてくれたんだと、本当に嬉しく思いました。ただ、今回は長商デパートでの販売も視野に入れて商品開発をしたいとのこと。これはもう、本気で彼らと向き合わなければと、厳しい意見も言わせてもらいましたが、3人とも非常に真摯に向き合ってくれました。
 まず、提案されたアイデアは、少ない数をカフェ等で手を加えて提供できるのであれば、とても面白いものでした。しかし流通や品質保持、価格帯、デパートでの販売を考えると、どれも実現は厳しいと判断。その上で、会話の中から出てきた「映え」というキーワードと、抹茶などの「お茶スイーツ」が好きだという3人の意見を取り入れ、普通のどらやきとはちょっと違った見た目の、抹茶系どらやきに絞って試作を始めることにしました。
地域の宝である
子どもたちへの思いを込めて。
 あれこれと思い悩む中で浮かんでくるのは、3人の笑顔。新型コロナウイルスによって、この3年間、一番我慢を強いられたのは子どもたちだったように思います。学校に行けない、部活ができない、目指していた大会が中止になる。そんな中でも前を向いて、自分たちなりに工夫しながら学校生活を頑張っている姿を見ると、まさに彼らは地域の宝だと、改めて思うようになりました。
 そんな時に思い出したのが、とら柄模様に焼き上げるどらやき、「とら焼き」です。とら焼きは昔からある技法で、焼く際に鉄板と生地の間に紙を挟むことで、その焼きむらが独特なとら模様として現れます。また「とらの子」という言葉は、虎が子を大切に守り育てることから、非常に大切にして手放さないものを意味します。長野で育つ子どもたちは、みんな地域の宝。私たち大人にとっての「とらの子」じゃないか。そう思った瞬間に、今回の商品は「とらの子どらやき」にしようと、先に商品名を決めました。
 生地は長野県産小麦に飯山みゆき卵、松代の蜂蜜、オブセ牛乳を合わせ、さらに隠し味として抹茶のリキュールを加え、食べた時にふんわりと抹茶の余韻が感じられるようにしました。中に挟む餡は、練乳をベースに炊き上げたオリジナルのミルク餡に、宇治抹茶をたっぷりと加えた「抹茶ミルク餡」。普通の抹茶餡よりも、ほんのりミルキーな味わいで優しい甘さになっています。ここにエアレーションして軽い口当たりに仕上げたカルピスバターを合わせることで、いわゆる「どらやき」よりも、洋菓子にシフトした、「とらの子どらやき」ができました。生地・餡・バターの3つのハーモニーが楽しめると同時に、とら模様や断面の美しさなど、「映え」も意識しています。
 大人である今の私の思いを込めた「とらの子どらやき」。3人が大人になった時、今度は彼らが、地域の「とらの子」を愛しく思えますように。みんなにとって大切な故郷である長野が、そんな風に思いやりあふれるまちになったら素敵だと思いませんか。





  • 本店
  • 住所/長野市伊勢宮1-18-14
  • TEL/026-228-9235
  • 営業時間/9:00~18:00
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  • ながの東急店
  • 住所/長野市南千歳1-1-1ながの東急百貨店 地下1F
  • TEL/026-226-8181(ながの東急代表)
  • 営業時間/10:00~19:00
  • 定休日/ながの東急百貨店に準ずる
  • 駐車場/ながの東急百貨店駐車場をご利用ください。
  • http://www.shunsaikatamura.com/


(2022年11月号掲載)