• 変化する時代の中で
    自分たちが成すべきことを
    思考し続ける企業で
    在りたいと思います。

      • カシヨ株式会社 会長

        七代目 與助 清水 光朗

        Mitsuro Shimizu

      • カシヨ株式会社
      • 長野市西和田1-27-9
      • https://www.kashiyo.co.jp/

「ながの情報」発刊のきっかけは
前会長のヨーロッパ旅行。

 「ながの情報」が発刊されたのは今から50年前、昭和47年のことでした。発刊のきっかけとなったのは、先代の会長である父がヨーロッパを旅していた際にホテルで手にした「This Week」というタウン情報誌です。地域で暮らす生活者や旅行者に必要な情報が網羅された冊子は、当時の日本ではまだ見たことがなく、父は「これからは情報を発信・必要とされる時代がくる」と直感し、冊子を持ち帰ってきたそうです。
 折しも日本は高度経済成長によって急速に発展。長野という地方都市でも、若者を中心に余暇を楽しむ機運が盛り上がっていました。そこで社内にプロジェクトを発足し、地域にあふれるさまざまな情報をジャンル別に整理。さらに読者とのコミュニケーションを図れる機能を持たせ、双方向での情報発信が可能となる、これまでの日本になかった新しいタウン情報誌を企画したのです。
 創刊準備号を発刊したのが、昭和47年11月14日。当時50円で販売し、好感触を得て、翌48年1月29日に創刊号を発刊しました。地域の人たちが活用できる情報を有料で提供する「ながの情報」は、日本で初めて発刊されたタウン情報誌であり、1月29日はタウン情報の日として、タウン情報全国ネットワークに制定されています。

変化する時代の中で
情報を発信する意義を見つめて。

 「ながの情報」を発刊した父、清水栄一は、文政11年に桜小路(現在の桜枝町)で和紙の商いをしていた初代、清水佐吉を礎に、四代目與助が明治24年に始めた柏與印刷の六代目として生まれました。激変する時流を読み、製造業としての印刷から、情報サービス業としての印刷へ転身。中世ヨーロッパで民に情報を伝える役目を担っていた「タウンクライヤー」であれと、社名から印刷の文字をとってカシヨ株式会社へと変更し、社是である「もっとも古く、もっとも新しく」の精神で、情報共感・情報発信企業として歴史を重ねてきました。
 「ながの情報」もその一翼を担い、地域に必要な情報を発信すると同時に、地域内の重要なコミュニケーションツールとして時代を彩りました。40代以上の方は、「ながの情報」をご存知の方も多いのではないかと思います。当時は多くの読者の方が誌面に登場して「ながの情報」を盛り上げてくださり、地域経済活性化の一助となれたのではないかと自負しています。
 2000年代に入ると、世界はインターネットの時代に突入。スマートフォンも爆発的に普及し、私たちはいつでも、どこでも、インターネットに接続できるようになりました。それに伴って情報の入手の仕方、スピードも変化し、従来の「ながの情報」は役目を終えました。
 平成16年に有料版の発行を終了し、新たにフリーペーパーとして「ながの情報FREE」を発刊。平成29年からは「ながの情報NEXT」として、単なる情報ツールではなく、「ながの情報」というフィルターを通して、「伝えたい情報」「伝えるべき情報」を地域に発信し続けています。「ながの情報」を軸に、行政や学校、企業とのコラボによる企画や情報発信も展開。「ながの情報」だからできる地域とのコミュニケーション、情報発信を大切にしていきたいと思います。今、長野で頑張っている人、応援したい情報を地域に届けることで、少しでも地域活性に貢献することができればと考えています。
 初代から数えて、今年で194年。カシヨは常に時代の変化に対応し、情報発信の在り方を模索し続けています。200年を迎える6年後、どんな世界が広がっているのでしょうか。今から楽しみです。

(2022年12月号掲載)