• デザインとテクノロジーで
    これからの事業展開の在り方を
    長野の門前から
    発信し続けていきたい。




      • シソーラス株式会社 代表取締役

        荒井 雄彦

        Takehiko Arai

出会いやご縁をいただく中で
スキルを磨いて。

 小さい頃から体を動かすことが大好きで、小学校時代はずっと野球をやっていました。実は東京生まれなんですが、父の転勤に合わせて動き、高校、大学は関西に。そのまま大阪のITベンチャー企業に就職し、情報セキュリティー関連の営業として5年ほど働きました。かなりハードな日々でしたが、お客様とダイレクトに向き合いながら、感謝されたり怒られたり。それが非常に楽しくて、自分の社会人としての基礎は、ここで培われたと思っています。
 ただ、会社が急激に成長する過程で社員が増えて組織化が進み、自分が楽しいと思える仕事の在り方と、微妙にズレが生じるようになってしまって。それまで自分なりに知識や経験も重ねてきていたので、思い切って父と一緒に起業し、2004年に「eセキュリティ・キューブ株式会社」を起ち上げました。その後は、情報セキュリティーを核とするITコンサルティングを中心に、自ら企業を開拓。紆余曲折ありましたが、2009年に父から会社を引き継いで、完全に独立しました。

長野の門前に拠点を置くことで
見えてくるものがある。

 長野との関係は、子育てのために長野に移住していた弟が、「そろそろ独立しようかと思う」と言ったひとことがきっかけなんです。弟もIT系の人間でしたし、たまたまもう一人、グラフィックデザイナーの友人も独立を考えていて、「じゃあ3人でやろうか」と。弟が長野で暮らしていなければ、今のシソーラスは存在していないのかと思うと、縁とは不思議なものだと感じますね。
 3人で始めた当初は、それぞれがエキスパートとして個別に仕事を受けていたのですが、そのうちに自然とチームの強みが活きはじめました。例えば企業の基幹システムを構築する場合、情報セキュリティーの知識は欠かせませんし、システムを使う人の立場で、わかりやすい画面、間違えない配置を考える際、デザインの視点が重要です。さらに優れた基幹システムの開発には、業務フローの整理が必須であり、そこには組織マネジメントや企業ブランディング、広報といった部分も重なってきます。3人がそれぞれの知識を出し合って情報を共有することで、クライアントの環境を整え、多面的にサポートできるのが、シソーラスの強みになっています。
 中央通りの路面に事務所を構えたのは2019年のことです。この頃からエンジニアを採用すると同時に、プラットフォーム開発をはじめとする多面的な事業展開も視野に入れて動きだしました。現在、社員は21名。自分自身がさまざまな人との出会いやご縁から新しい仕事やプロジェクトに関わってきたので、社員にも、もっと地域と関わって、偶発的な出会いから生まれるものを感じ取って欲しいと思います。そういう意味では、善光寺門前は、面白い人が集まる非常に良いエリアだと感じます。
 R︲DEPOTに新しい事務所を構えることにしたのも、新しい出会いから生まれる「何か」を期待したからです。これからの事業の在り方は、アイデアをオープンにして、それを実現させるためにどう連携していくかが非常に重要になると考えます。企業をつなぎ、コミュニティをつなぎ、年代をつなぎ、内と外をつなぐ。シソーラスがその役目を果たせればと思っています。

(2022年12月号掲載)