• スキーとともに歩んだ
    人生だからこそ提案できる
    本物の良さを
    長野から発信していく。




      • Vector glide

        代表取締役 秋庭 将之

        Masayuki Akiba

競技スキーとの出会いが
自分の人生を決めた。

 北海道で生まれ育った私が競技スキーと出会ったのは、小学校1年生、7歳の時です。初めて参加した大会で負けた時の悔しさ、勝つために努力したトレーニング、迎えた大会で優勝した時の喜び、そのすべてが鮮烈であり、自分の人生を賭けて挑むものを見つけた瞬間でした。
 以降、シーズン中はもちろん、1年を通してスキー中心の生活に。もともと「これ」と決めたら突き進む性格なので、充実していましたね。大学ではナショナルチームに所属し、カルガリーオリンピックを目指しました。怪我でその夢は断念しましたが、卒業と同時にプロスキーレーサーとして、新たな道を歩むことを決めました。5シーズンレーサーとして活動後、全日本スキー連盟のデモンストレーターに。スキーのメソッドを学びながら、スキー技術の向上や普及に努め、日本障害者スキー連盟のヘッドコーチとして、チェアスキーの開発にも携わりました。さらに雪上の障害物競争とも呼ばれるスキークロスと出会い、競技者に復帰。ワールドカップに参戦し、世界を巡りました。

スキーとともに歩んだ
自分にしかできない提案を。

 そんな日々の中、ある時友人に誘われてアラスカに行ったんです。とんでもない斜度、しかも新雪ではなく、コンディションは雪崩の後の荒れた斜面でした。これまで競技者として何本ものスキーで滑ってきた経験から、その時履いていたバックカントリー用のスキーの性能に物足りなさを感じて、もっと性能の良いスキーが欲しいという思いが生まれました。
 そこで全国のスキーショップにリサーチし、バックカントリースキーのニーズを調査。潜在的なマーケットがあることがわかりました。自分が納得できるものを作りたかったので生産は国内と決め、バックカントリーを中心としたブランドの立ち上げを国産製造メーカーにプレゼンしました。そこから理想とするスキーの開発に着手。試行錯誤の上、2003年の秋に、Vector glideとして初めての、「CORDOVA」をリリースすることができました。
 私たちは、スキーをひとつの作品として捉え、乗り味をはじめとする滑走性能はもちろん、デザイン性も含め、愛着を持って長く愛用してもらえるプロダクトとしての耐久性を大切にしています。滑り手が作るものづくりでしか成し得ない特別なスキーを、これからも思いを込めて作り続けていきたいと思います。
 昨年、長野市に本社を移転。長野で出会った友人から紹介され、R-DEPOTへの入居を決めました。工場との打ち合わせや確認もスムーズですし、白馬や野沢温泉など、スキー場にも近い。さらに新幹線で東京まで簡単に出られるため、長野市は地の利のよいところだと感じています。R-DEPOTも、何か新しいこと、面白いことにチャレンジしようとする企業が多く、刺激を受けますね。
 今後はここを拠点に、行政や大学などとも連携しながら、自然環境に配慮したものづくりや、スキー場の今後の在り方等について、共同プロジェクトを展開していければと考えています。

(2023年3月号掲載)