権堂の秋葉神社を右手に、アーケード街を中央通り方面にしばらく進むと、右側に秋葉横丁と名付けられた細い路地が現れます。この路地を北へ進み左手に見えてくるのが、ヤマとカワ珈琲店です。暖簾がかかっていたら営業中。週3日の営業ですが、コーヒー好きのお客様がヤマとカワの珈琲豆を求めて訪れます。今回は、店主であり焙煎士である川下康太さんに、蕎麦朧に合うコーヒーを選んでいただきました。

〈蕎麦朧とは〉

旬彩菓たむらを代表する和菓子である蕎麦朧は、戸隠・信濃町産の最上級蕎麦粉、県産小麦、和三盆、カルピスバター等を用い、一つひとつ手作業で丁寧に仕上げた、たむらオリジナルの和菓子です。

2種類の豆を
2つの淹れ方で抽出
 ヤマとカワ珈琲店では、厳選した8種類の豆と、季節や月毎に提案するオリジナルブレンドを、一番美味しいと思う焙煎度でご提供しています。また、単に豆を販売するだけでなく、コーヒーを楽しむ「ひととき」を日々の暮らしの中で楽しんでいただけるよう、コーヒーの淹れ方や手法なども提案しています。今回も、蕎麦朧とコーヒーを楽しむ素敵なひとときを想像しながら、自分なりにベストなコーヒーを選んでみました。
 悩んだ上でチョイスしたのが、オーガニックのペルー産コーヒー豆と、ブラジル産の豆。この2つを、それぞれの特徴を引き出す淹れ方で楽しんでみます。
ペルー産はマイルドなコクと飲みやすさが特徴ですが、味が力強く余韻が長く続くため、飲みやすいのに満足感のあるコーヒーです。このペルーを若干浅めの中深煎りで焙煎し、ハリオのドリッパーで淹れていきます。これは、お湯が粉に触れている時間を短くして、すっきりと仕上げるため。といってもお湯はゆっくり均一に、置くように細く注ぐと美味しく淹れられます。心に余裕を持って、淹れる時間を楽しんでほしいですね。
 一方のブラジルは、コーヒーの生産国として歴史も古く、生産量も世界一。栽培技術も高く、美味しさを追求したコーヒーだと思います。じっくりと中深煎りしたブラジルを、ネルドリップで淹れていきます。紙のフィルターよりも目が粗いためコーヒーのオイル成分も落ちるので、よりコクが強く出る淹れ方です。また落ち方もゆっくりなので、苦みもしっかり感じられます。

コーヒーの奥深さを知った
テイスティング
 2種類の方法で淹れた2種類のコーヒー。どちらも非常に美味しいコーヒーなのですが、蕎麦朧と合わせてみたら、まったく違う余韻を感じることができました。
 ペルーの方は、優しく蕎麦朧の上品な甘さをほどいていくような、同化するような余韻を感じました。喉を通った後も、蕎麦朧の美味しさが口の中に残る、蕎麦朧の良さを引き立ててくれるような優しい味わいでした。
 ブラジルは、オイル感が蕎麦朧と混じり合って、ナッツのような風味を感じます。最後はブラジルのコクと旨みで、スッと終わるイメージ。ペル―とは逆で、蕎麦朧がブラジルの良さを引き立ててくれています。




蕎麦朧という同じお菓子なのに、コーヒーの違いによってこんなにも感じる味わいが違うことに、本当に驚かされました。コーヒーの奥深さをまたひとつ、知ったような気がします。蕎麦朧を引き立てるのか、コーヒーを引き立てるのか、その時の心持ちで、合わせたいコーヒーは変わってきそうです。



  • 本店
  • 住所/長野市伊勢宮1-18-14
  • TEL/026-228-9235
  • 営業時間/9:00~18:00
  • 定休日/月曜日
  • 駐車場/8台
  • ながの東急店
  • 住所/長野市南千歳1-1-1ながの東急百貨店 地下1F
  • TEL/026-226-8181(ながの東急代表)
  • 営業時間/10:00~19:00
  • 定休日/ながの東急百貨店に準ずる
  • 駐車場/ながの東急百貨店駐車場をご利用ください。
  • http://www.shunsaikatamura.com/


(2023年5月号掲載)