• 生まれ育った長野が
    もっと元気になるために
    自分ができることを
    模索し続けて。

      • 一般財団法人 長野経済研究所

        調査部 公共ソリューショングループ 主任研究員
        玉木 壮太

        Souta Tamaki

      • 一般財団法人 長野経済研究所
      • 長野市岡田178-13 八十二別館3階
      • http://www.neri.or.jp/

生まれ育った故郷に
恩返しできるようになりたい。

 見渡す限りの田んぼやりんご畑が広がる中野市で、夏は自転車で川釣りに、冬は家族でスキーへと、豊かな自然の恩恵を受けて育ちました。中学2年生から地元を離れるまでの5年間、新聞配達を続けたことも良い思い出です。冬は暗いうちから除雪前の雪道をかき分けて進まなくてはならず、大変なこともありましたが、雨の日も風の日も休むことなく配り続けたことで、忍耐力や継続することの大切さを学ぶことができました。この経験が、今の自分のベースになっていると感じます。
 大学進学と同時に松本市で一人暮らしを始め、全国各地から集まってきた学友からは、大きな影響を受けました。これまでの自分が、本当に小さな世界の中でしか生きてこなかったのだと痛感すると同時に、さまざまな視点や広い視野で物事を俯瞰することの重要性を感じるようになりました。「井の中の蛙にならないように」というゼミの先生の教えのもと、東京に部屋を借りて就職活動に取り組んだことも、視野を広げ、自分自身が何を成したいのかを、改めて考える機会になりました。東京に出たことで、長野の素晴らしさに気づくこともできましたし、生まれ育った長野に貢献できるような仕事に就きたいと、強く思うようになりました。

地域の課題に寄り添いながら
ともに歩む人でありたい。

 ご縁をいただいて八十二銀行に入行。銀行業務を経験した後、社内の人材公募制度を活用して、長野経済研究所に出向しました。
 支店時代は、目の前にいる一人ひとりのお客様の人生をサポートしてきましたが、今度はもっと広い視野で、地域全体、長野県全体を活性化し、そこに暮らす人たちが笑顔になるために何をするべきかを、思考・実行することが求められるようになりました。当初は耳慣れない言葉が飛び交う現場に戸惑うことも多々ありましたが、経験を重ねる中で地域とのつながりも強まり、今は多くの方の協力を得て、日々の業務に取り組んでいます。
 例えば須坂市では、須坂市子育て就労支援協議会からの委託を受け、須坂市や「須坂市子育て就労総合支援センターbota」を管理・運営するGoolightと一緒に、子育て世代の方たちに役立つ「マネーセミナー」や、「PCスキルアップ講座」などを開講しています。託児付きにすることで、小さなお子さんがいる方でも気軽に参加できるようになり、好評をいただいています。今後も地域の方の声に耳を傾けながら、子育て世代に役立つような企画を展開していくことで、須坂市の活性化を目指していきたいと思います。
 また山ノ内町では、志賀高原観光協会と連携し、公式ホームページからエリア内の各宿泊施設に予約できるシステムを構築しました。データを蓄積することで志賀高原を訪れる人たちの属性や傾向を分析し、ターゲットを絞った効果的なプロモーションや、新しいツアー商品の開発を展開するプロジェクトが始まっています。
 このほかにも、さまざまな自治体や企業と、長野を元気にするためにできることを、日々模索しています。つながりを持った地域の方からは、「やりたいことはあるんだけれど、何から手をつけていいのかわからない」「課題は見えているんだけれど、どのように進めればよいのかわからない」といった声を聞くこともあります。その見えない部分をカタチにしていくことこそ、長野経済研究所の役割であり、地域に寄り添ってともに悩み、行動し、検証しながら、地域とともに歩んでいきたいと思っています。私も生まれ育った北信濃のために、少しでも貢献することができれば、こんなに嬉しいことはありません。

(2023年6月号掲載)