• 自分の作った映像で
    誰かの心を動かすことができる。
    そんな瞬間を求めて
    この世界で生きています。




      • 映像ディレクター・プランナー
        飯田 雄平

        Yuhei Iida

誰かの心を動かす喜びを
知ってしまった。

 自分のルーツは小布施町。小さな町ですが、面白い人や面白いモノが交錯して何かが生まれるような不思議な町で、幼いながらに刺激のある日々を過ごしました。近くに住む映像クリエイターの人に可愛がってもらって、よく遊びに行っていたんです。「映像」の世界に触れたのは、それが最初でした。
 自分でカメラを持って撮影するようになったのは、中学生の頃からです。生徒会の活動の一環として動画を撮って編集し、文化祭や卒業式で流しました。初めて自分で作った動画をみんなが見て感動してくれて、それは本当に嬉しかったですね。「映像」があることで、場が盛り上がったり、みんなの心がひとつになったりする。その大きなエネルギーの動き、人の心が動かされる瞬間を知ってしまったことで、自分の進む道が決まったような気がします。誰かの心を動かすことができる。その喜びをもっと感じるために映像を本格的に学ぼうと、京都にある立命館大学の映像学部に進み、プロになるための一歩を踏み出しました。

変化し続ける映像の世界で
目指す方向を模索していく。

 長野とはまったく文化が違う京都での初めての一人暮らしや、実社会との接点が多い映像学部での学びは、自分の世界を大きく広げてくれたように思います。講義や課題制作はもちろん、映像制作会社でバイトもしていたので、大きな現場から小さな現場まで、「映像の世界」をリアルに経験しました。中でも自分にとって大きな転機となったのが、「Vook」という映像クリエイターのためのプラットフォームを提供する企業でのインターンでした。1年間大学を休学して「Vook」の運営に参画していたのですが、そこから見えてきたのは、映像制作の変革です。
 従来の映像現場は、監督や脚本、カメラマン、音声、照明など、さまざまな役割を担うプロ集団によって制作されてきました。そこに新たな動きとして生まれたのが、ビデオグラファーという在り方です。脚本から撮影まで自分の裁量で動かしていくビデオグラファーは、技術革新による機材の進化や低コスト化の後押しもあり、急激に増えてきています。今はスマホで動画を撮影して自分で編集し、YouTubeにアップできる時代。プロとアマの境界線は、これからさらに曖昧になっていくかもしれません。
 そんな中で映像クリエイターとして自分が目指すべき方向はどこか。今も模索し続けていますが、ひとつ言えることは、自分はクライアントとのコミュニケーションを通して、一緒に作り上げていくという実感を大切にしたいということです。誰かが誰かのために作る、その「思い」を伝えること、自分が作った映像で、誰かが心を動かされる瞬間に出会いたいんです。そんな仕事をコツコツと続けていくことで、長野のまちに変化を、それは「場」かもしれないし、「人」かもしれないですが、映像の持つ力で何か変化を生み出せれば最高ですね。
 R-DEPOTは、長野に拠点をと考えていた時に知り合いから声を掛けられて、コミュニティの場というコンセプトが面白いと感じて入居を決めました。現在は東京と長野の2拠点で活動していますが、もっと長野で身近な人を感動させる映像を作っていけたら嬉しいですね。

(2023年9月号掲載)