皆が力を尽くすことで
県産小麦の質が
格段にあがった
長野県、とくに北信地域は古くから粉物の文化が発達してきました。米は年貢として納めるものですから、日常の食事は小麦粉が主流。郷土食となっている「おやき」や「こねつけ」、「にらせんべい」などは、かつてはどこの家庭でも作られていました。私たちはこの食文化を守り、長野県産の小麦を地域に届ける使命があると考えています。特に子供たちには、地元の安心・安全な小麦粉を食べて育ってほしい。長野県の食文化を伝えるとともに、地元にこんなに素晴らしい小麦があるということを知ってほしいと願っています。
長野県や全農長野さんとともに産地活性に取り組み、県産小麦の品質向上のため、平成20(2008)年頃からは県の農業試験場で小麦の研究・開発が活発に行われるようになりました。農家さんの努力もあり、現在、長野県では7品種ほどの小麦を生産しています。この多品種栽培で多様なニーズに応えられるようになり、特にこの10年で県産小麦は自信を持ってお届けできる品質となりました。
あらゆるニーズに応え
県産小麦の良さを
伝えていく
旬彩菓たむらさんの銘菓「蕎麦朧」に、当社の県産小麦を使用していただくようになったのは、平成30(2018)年のことです。「長野に店を構える和菓子店として、できるだけ地域の食材を使用することで地元に恩返しをしたい。と同時に、長野にある和菓子店だからこそ作れる唯一のものを作りたい」というご要望に、身が引き締まる思いでした。既に商品化されていた「蕎麦朧」の味を落とすことなく、さらに良くならなければ県産小麦に変える意味がありません。納得のいく味に仕上がるまで、さまざまな県産小麦で試作が繰り返され、その情熱に職人魂を感じました。
現在「蕎麦朧」に使用していただいている小麦粉は、「シラネコムギ」「しゅんよう」「ユメセイキ」「ハナマンテン」の4種類の小麦をブレンドした、「信州めぐみ」という当社オリジナルのブレンド小麦粉です。県産小麦に変えた「蕎麦朧」を食べた時は嬉しかったですね。しっとりほろっとした優しいくちどけが上品で、さすが、たむらさんを代表するお菓子だなと思いました。
長野県産小麦粉は、嬉しいことに多くの引き合いをいただいています。お菓子屋さんやパン屋さん、ラーメン屋さんと、それぞれに求める小麦の質が違う中で、いかにお客様のニーズに添った小麦粉を安定的に供給できるかが、これからの私たちに課せられた責任だと思っています。また、地域の皆さまにも気軽に県産小麦粉を使っていただけるよう、分量や内容にもこだわり提案を続けています。ぜひ長野県産小麦を使用した小麦粉の美味しさを味わっていただきたいですね。