高山村のあたたかさを
訪れた方に伝えたい。
東京育ちの私が高山村を訪れたのは、藤井荘6代目の主人と出会ってからでした。嫁いで以来、日々移り変わる渓谷の美しさに心を奪われ、今も飽きることはありません。当時は毎日100人以上のお客様をお迎えしていたので大変ではありましたが、楽しかったし、やりがいもありました。「藤井荘に泊まりたい」と訪れてくださったお客様が、笑顔になる瞬間が嬉しくて。その思いはずっと変わらず、常にお客様が心からやすらぎ、くつろいでいただけるひとときを提供できるよう、スタッフ一同心掛けています。高山村は、村全体に流れる空気感がとにかくあたたかいんです。昔から温泉で裸の付き合いをしてきたからでしょうか。かしこまらずに楽しむ、そんなあたたかさをお客様にも感じていただきたいと思っています。
長野の素晴らしさを
全国に発信し続けます。
藤井荘では、温泉はもちろんのこと、提供するお菓子やお料理も「地の物」にこだわっています。旬彩菓たむらさんとの出会いは、もう20年以上も前になりますね。たまたまお土産で「蕎麦朧」をいただいて食べたのが、きっかけです。ふわりと抜ける蕎麦の香りやホロホロとほどけていくような口当たりに、これは美味しいと。すぐに社長さんにお電話をして、藤井荘のおもてなし菓子として、「蕎麦朧」を使いたいとお願いしました。
以来今日まで藤井荘では、お薄と「蕎麦朧」でお客様をお迎えしています。藤井荘限定の1個包みでお客様にお出ししているのですが、信州ならではの蕎麦のお菓子として、皆様に楽しんでいただいています。
今年5月31日と6月1日、2日間にわたって藤井荘で「名人戦第5局」が行われました。高山村の念願であった名人戦対局を、しかも藤井聡太さんが名人になるかどうかの一戦で開催できたことを、とても誇らしく思っています。注目される「勝負めし」や「勝負おやつ」は、いくつかご提案する中からお好きなものを選んでいただくのですが、おやつのセレクトは、私が食べて美味しかった長野のお菓子を揃えました。たむらさんの「フルーツロール」もそのひとつ。県産小麦や飯山みゆき卵、オブセ牛乳を使って作られるスフレ生地や、ワッサーやいちごなどの県産フルーツがとても美味しくて。長野の素材をふんだんに使ったお菓子なので、藤井聡太さんに選んでいただけて嬉しかったです。あの後、お店は大変だったとお聞きしましたが、全国の皆さんに長野ならではの美味しいお菓子を知っていただけたのではないかと思います。これからも、長野ならでは、高山村ならではのおもてなしを提供し、この地の素晴らしさを発信していきたいと思います。