「小川の庄」では現在、1日に約1万2千個のおやきを製造しており、私はそのおやきに詰めるさまざまな種類の「具」を作る部署を統括しています。一番人気の「野沢菜」の取扱量は、年間約100t。小川村で栽培された野沢菜を自社で漬け込んだものを中心に、長野県内の野沢菜漬けも合わせ、独自のレシピで野沢菜おやきの味を守り続けています。
入社当時、おやきはまだ数種類しか販売していませんでしたが、そこから皆で話し合い、試作を重ねて、小川の庄の成長とともに徐々に種類を増やしていきました。今では定番15種のほか、季節限定商品なども合わせ、常に20種類ほどのおやきを年間を通して販売しています。失敗と成功を繰り返しながら作り上げた具は、どれも自慢の味。中でも「卯の花」のなめらかさは絶品で、しっとりクリーミーな食感になるまで、人の手で大鍋をかき混ぜながらじっくりと炊き上げています。けっこうな重労働なのですが、感覚で「ここ!」というタイミングがあるので、常に目を光らせていますね。作り手の愛情がたっぷり込められた「卯の花」を、ぜひ一度、味わっていただきたいと思います。
また、おやきの定番である「なす」は、夏季限定の商品となっています。それは、夏に小川村でとれる丸ナスだけを使用しているから。身がぎゅっとつまった小川村の丸ナスでしか、納得できる美味しさが出せないんです。自信を持って美味しいおやきをお届けしたいから、食材にはこだわり続けています。
今、私と一緒に製造部門を任されているのは、私と50歳も年が離れた若い子です。先輩たちが築き、私たちが育ててきた「小川の庄」を、さらに次代へとつなぐため、彼らが誇りを持って働ける仕事を継承していきたいと思います。働いてお金をかせぐということは大変なことです。だからこそ、職場は明るく楽しく。笑顔で作ったおやきは、必ず美味しいおやきになります。「うちのおやきが一番美味しい」と、全国に自信を持って自慢できるような「小川の庄」で在り続けたい。全国の方に「小川の庄」のおやきの美味しさをもっと知ってもらいたい。そのためにも、まだまだ頑張ります。