名古屋から長野まで続く総延長272・6kmの国道19号線を長野駅から南西方面へ進み、JR安茂里駅を過ぎてしばらくすると右側の高台に見えてくるのが、寺島工務店です。1963(昭和38)年の創業以来、多くの社寺建築を手掛けてきた寺島工務店は、木造建築のプロ集団として培ってきた匠の技を活かし、店舗建築から一般住宅まで幅広く展開しています。今回は、2代目として躍進する寺島秀敏さんにお話を伺いました。

〈蕎麦朧とは〉

旬彩菓たむらを代表する菓子である蕎麦朧は、長野県産の上質な小麦粉、戸隠産の最上級蕎麦粉、和三盆、カルピスバター等を用い、一つひとつ手作業で丁寧に仕上げた、たむらオリジナルの和菓子です。

挑戦は面白い!
成長はそこから始まる。
 父が築き上げてきた寺島工務店を継ぐと決めてから、まず初めにやったのが「外から寺島工務店を知ること」でした。長野のゼネコンで働きながら寺島工務店を客観的に見ることで、会社の課題や外部の評価を正しく理解し、そこから自分なりに理想の在り方を思い描くことができたように思います。
 その経験を基に、会社に入ってからまず取り組んだのが、人の育成です。熟練の技を持つ職人が健在の間に、次の世代を育てなければ会社の未来はありません。かなり思い切って採用を展開しましたが、父の助けもあり良い大工が育っています。現在、寺島工務店には20名の大工がいますが、その平均年齢は31歳。寺社建築で培った技術をしっかりと継承し、「寺島工務店でなければ建てられない」「寺島工務店で建ててほしい」と言われる工務店でありたいと思います。いろは堂の「OYAKI FARM」や、「サントリー天然水北アルプス信濃の森工場レセプション棟」など、非常に難しく高度な技術が必要とされる建物にも果敢に挑戦することで、職人一人ひとりが成長を遂げ、本当に強い大工集団になったと思います。

安茂里に根付く工務店として
技と文化を継承していく。
 私自身は大工ではなく、経営の視点で仕事に当たっています。といっても、小さい頃から父の背中を見て育っていますので、現場のキャリアは長いんです。いろいろと口を出したくなることもあるのですが、抑えるべきポイントだけを押さえ、あとは担当の代人や営業にすべてを任せることで経験を積んでもらっています。寺島工務店では、今でも「建前」の時に北信流の木遣りを披露するのですが、皆さん驚かれるとともにとても喜んでくださいますね。安茂里に根付いた地元の工務店として、伝統文化である木遣りもしっかりと継承し、地域に愛される存在であり続けたいと思います。
 同じ安茂里の老舗である「旬彩菓たむら」の専務さんは私の中学時代の先輩で、当時から今日まで可愛がっていただいています。子どもの頃から暮れのご挨拶やお正月など、ちょっと特別な時のお菓子はいつも「たむら」さんでしたね。今は仕事でお客様にご挨拶に伺うときの手土産として、よく利用させていただいています。
 「蕎麦朧」はどなたにも喜ばれるのですが、中でも裏千家の北見宗幸先生に「美味しい」と言っていただけた時は嬉しかったですね。茶道の大家に認められる菓子を、地元の先輩が作っていることが本当に誇らしくて。地産の素材を活かし、手仕事で丁寧に仕上げる職人の技に改めて感動しました。大工も菓子職人もモノを作るプロです。もっと職人の価値を高め、日本独自の文化を継承するために、私自身できることに取り組んでいきたいと思っています。




  • 本店
  • 住所/長野市伊勢宮1-18-14
  • TEL/026-228-9235
  • 営業時間/9:00~18:00
  • 定休日/月曜日
  • 駐車場/8台

  • ながの東急店
  • 住所/長野市南千歳1-1-1ながの東急百貨店 地下1F
  • TEL/026-226-8181(ながの東急代表)
  • 営業時間/10:00~19:00
  • 定休日/ながの東急百貨店に準ずる
  • 駐車場/ながの東急百貨店駐車場をご利用ください。
  • http://www.shunsaikatamura.com/


(2024年5月号掲載)