• 壮大な自然に包まれて
    爽やかな高原の風を感じて。
    志賀高原のグリーンシーズンを
    思い切り楽しんでほしい。

      • 木戸池温泉ホテル

        専務取締役
        小林 隆一

        Ryuichi Kobayashi

      • 木戸池温泉ホテル
      • 下高井郡山ノ内町大字平穏7148
      • 0269-34-2821
      • https://kidoike.com

山岳リゾート志賀高原の
豊かな自然に育まれて。

 志賀高原に点在する池のひとつ、木戸池の畔に建つ一軒宿「木戸池温泉ホテル」の4代目として生まれ育ちました。当時はスキーブームもあり、またスキー学習旅行も全盛期で、宿はいつも満室でしたね。麓の小学校にバスで通っていたのですが、帰りのバスはいつも満員。自分が降りるバス停で降りられなくて、泣きながら歩いて帰ったこともあります。志賀高原全体が、大勢のスキー客で賑わっていた時代でした。
 父は私に「ホテルを継いでほしい」とは言いませんでしたが、幼い頃から「自分が継ぐんだ」という意識がどこかにあったように思います。大学を卒業後、いずれは家に戻ることを前提に、東京の大手ホテルに就職。営業や宣伝を担当する部署に配属となり忙しい日々を過ごしましたが、この時の経験が今に活きていると思います。
 その後、木戸池温泉ホテルに戻って最初に感じたのは「ギャップ」でした。すでにスキー人口が減少している状況下だったのですが、どうしても従来のやり方から脱却できていないことに危機感を感じて。父にも、「やるべきだと思ったことは、すべてやってみろ」と背中を押され、ホームページのリニューアルや予約システムの導入、ターゲットに向けた広告出稿などに着手し始めました。この時に信頼して任せてもらえたからこそ、本当の意味で宿を継ぐ覚悟が決まったような気がします。

志賀高原の開拓とともに
歩み始めた木戸池温泉ホテル。

 「木戸池温泉ホテル」は、私の曾祖父である小林信義が昭和8(1933)年に建てた宿です。「志賀ヒュッテ」という名で始まった湖畔の宿は、温泉発掘などの困難を乗り越えて今日まで続いてきました。志賀高原開発のパイオニアとして尽力した曾祖父を誇りに思いますし、90余年続いてきたホテルの歴史を守り、次代へとつないでいきたいと思っています。
 そのためには、自分のホテルのことだけを考えるのではなく、志賀高原全体のブランド力を再構築し、1年を通して「志賀高原に行きたい」「志賀高原でなければ」と思ってもらえるエリアにしていくことが重要だと考えています。ありがたいことに、ともに考え、行動してくれる先輩や仲間がいるので、皆で力を合わせて志賀高原を盛り上げようと取り組んでいます。そのひとつが「SDGs STUDY TOUR」。志賀高原の自然を体験しながら学びを深めることで、持続可能な社会の在り方を考えるきっかけとなるプログラムとなっています。他にもトレッキングやキャンプなど、グリーンシーズンならではの楽しみ方はいろいろ。上信越高原国立公園でありユネスコエコパーク認定エリアでもある志賀高原は、規制がある分、他の観光地のような開発はできませんが、人の手によって守られた豊かな自然を四季折々に体感していただけます。
 これから志賀高原は、木々が芽吹き、花々が咲き誇る美しい季節が訪れます。個人的には6月がおすすめですね。木によって少しずつ違う新緑の葉に覆われた山々は、それは見事なグリーンのグラデーションで彩られます。田ノ原湿原では、6月中旬頃からワタスゲも見頃に。また根曲がり竹や山菜も旬を迎えます。当ホテルをはじめ、志賀高原の各施設では、根曲がり竹を中心とした旬の限定プランをご用意し、毎年ご好評をいただいています。さらに7月上旬頃からは満天の星空の下、国の天然記念物であるゲンジボタルも見ることができますので、ぜひ一度、遊びに来ていただきたいですね。今年の夏は、標高1600mの木戸池の爽やかな風を感じてください。

(2024年6月号掲載)