開湯千四百年ともいわれる別所温泉に建つ「旅館花屋」は、大正6年創業の歴史ある旅館です。6、500坪の広い敷地に点在する木造の建物は棟ごとに渡り廊下で結ばれており、部屋は間取りがすべて違っていて、それぞれに当時の宮大工が手掛けた思いや遊び心を感じることができます。四季折々に美しい趣を見せる豊かな庭には、蝶やセミ、鳥なども訪れてお客様を五感で楽しませてくれます。代々の方が守り抜いてきたことで、「旅館花屋」は平成18年に「文化庁登録有形文化財」に選定されました。この歴史ある旅館でお客様をお迎えできることを、ここで働く全員が誇りに思っています。これからもお客様に快適にお過ごしいただくことを第一に、できる限り建物を守り、後世に残していきたいと思います。
この世界に飛び込んで、4年。旅館の仕事は多岐にわたり、覚えること、考えるべきことがなくなることはありません。逆にお客様から教えられることも多く、お客様に育てていただいていると感じることも多々あります。お客様からの質問やご相談にすべて応えることができ、「気持ちのよい接客ですね」とお声を掛けていただいた時は、本当に嬉しかったですね。もっともっと知識を蓄え経験を重ねて、お客様に安心していただける存在になりたいと思います。
お料理の説明もそのひとつ。「旅館花屋」は料理にも力を入れており、特に「出汁」にはこだわっています。季節ごとに吟味された会席料理をきちんとご紹介し、料理長の思いや素材の良さをしっかりとお客様に伝えられるよう、日々心掛けています。これからの季節は、紅葉とともに上田ならではの松茸が旬となります。毎年9月上旬から11月上旬まで、松茸づくしの贅沢な会席料理もご提供しています。中でも私のお勧めは土瓶蒸し。ふわりと香る松茸に、秋の訪れを感じていただけると思います。ぜひこの秋は、「旅館花屋」でのひとときを、お楽しみいただければと思います。