• 歴史ある別所温泉の地で
    一期一会のお客様を
    大切にお迎えし
    魅力をお伝えしていく。

      • 旅館 花屋
        宿泊課 課長代理

        政塚 梨帆

        Riho Masatuka

      • 旅館 花屋
      • 上田市別所温泉169
      • 0268-38-3131
      • https://www.hanaya.ne.jp/

生まれ育った上田の地で
新たなやりがいを見つけて。

 自然豊かな上田の地で生まれ育ちました。3姉妹の真ん中で、姉と妹と一緒に毎日賑やかに過ごしていましたね。実家の居心地があまりによかったからでしょうか。短大は長野市だったのですが、1時間半かけて家から毎日通っていました。今振り返ると、よく続いたなと思います。
 卒業後は製造系の企業でキャリアを重ねていたのですが、コロナ禍の中でいろいろと思うこともあり、新たな道に進むことに。そんな時にご縁をいただいたのが、別所温泉にある「旅館花屋」だったんです。それまでも北向観音に家族で初詣に来たりと別所温泉は身近な場所ではあったんですが、「旅館花屋」に初めて訪れた時の、歴史ある建物やお庭の美しさに感動してしまって。一つひとつ丁寧に、すべてに手間を掛けることを惜しまずにお客様をお迎えする姿勢にも共感し、「旅館花屋」にお世話になることを決めました。
 これまでとは全く違う旅館の仕事は、新たな学びの連続でもありました。まず一番初めに教えられ、今も最も気を付けていることは、「いつでも見られている」ということ。着物ならではの立ち座りや歩き方などの所作、言葉遣い、和室でのマナーなど、それらすべてが花屋の品格であり、おもてなしの姿勢です。お客様にいつ、どこで見られても、花屋らしい丁寧な在り様でいること。それこそが、「旅館花屋」で働く、ということだと思っています。

別所温泉の素晴らしさを
多くの方にお伝えしていきたい。

 開湯千四百年ともいわれる別所温泉に建つ「旅館花屋」は、大正6年創業の歴史ある旅館です。6、500坪の広い敷地に点在する木造の建物は棟ごとに渡り廊下で結ばれており、部屋は間取りがすべて違っていて、それぞれに当時の宮大工が手掛けた思いや遊び心を感じることができます。四季折々に美しい趣を見せる豊かな庭には、蝶やセミ、鳥なども訪れてお客様を五感で楽しませてくれます。代々の方が守り抜いてきたことで、「旅館花屋」は平成18年に「文化庁登録有形文化財」に選定されました。この歴史ある旅館でお客様をお迎えできることを、ここで働く全員が誇りに思っています。これからもお客様に快適にお過ごしいただくことを第一に、できる限り建物を守り、後世に残していきたいと思います。
 この世界に飛び込んで、4年。旅館の仕事は多岐にわたり、覚えること、考えるべきことがなくなることはありません。逆にお客様から教えられることも多く、お客様に育てていただいていると感じることも多々あります。お客様からの質問やご相談にすべて応えることができ、「気持ちのよい接客ですね」とお声を掛けていただいた時は、本当に嬉しかったですね。もっともっと知識を蓄え経験を重ねて、お客様に安心していただける存在になりたいと思います。
 お料理の説明もそのひとつ。「旅館花屋」は料理にも力を入れており、特に「出汁」にはこだわっています。季節ごとに吟味された会席料理をきちんとご紹介し、料理長の思いや素材の良さをしっかりとお客様に伝えられるよう、日々心掛けています。これからの季節は、紅葉とともに上田ならではの松茸が旬となります。毎年9月上旬から11月上旬まで、松茸づくしの贅沢な会席料理もご提供しています。中でも私のお勧めは土瓶蒸し。ふわりと香る松茸に、秋の訪れを感じていただけると思います。ぜひこの秋は、「旅館花屋」でのひとときを、お楽しみいただければと思います。

(2024年10月号掲載)