• 県内の各地域に根付く
    多様な文化を
    記録し、伝承することで
    文化を守っていく。

      • 公益財団法人 八十二文化財団
        専務理事

        三井 哲

        Satoshi Mitsui

      • 公益財団法人 八十二文化財団
      • 長野市岡田178-13
      • 026-224-0511
      • https://www.82bunka.or.jp/

人との出会いが
今の自分の糧となって。

 長野市豊野町の北端、鳥居川が流れる自然豊かな地域で生まれ育ちました。小さい頃は友だちと暗くなるまで外を駆け回り、川で魚を捕ったり、田畑の周りで虫や沢蟹を捕ったりと、まさに昭和の田舎の原風景のような暮らしでしたね。高校卒業後は東京の大学に進学し、都会ならではの楽しさも満喫しましたが、やはりどこか息苦しさも感じて。自然豊かな故郷が一番だと就職を機に長野に戻ることを決め、縁あって八十二銀行にお世話になることになりました。
 行員時代は県内外合わせて10ヵ所以上の店舗を経験し、それぞれの地域で多くの方たちと出会うことができました。長野県は広く、例えば北信と南信では言葉も文化も違います。それぞれの土地に根付いた独自の文化に触れ、積極的に関わっていくことで地域の方たちの懐に飛び込み、本音で語り合う経験ができたことは今でも自分の糧となっています。地域企業への融資も、単にできる、できないではなく、お客様の夢や目的を達成するためにどんな道筋が最適なのか、あらゆる知識を総動員して、ともに考えていきました。自分が受けた相談は絶対に断らないという信念のもと、お客様と真剣に向き合った日々は大切な宝物です。
 こうした経験は、その後の長野経済研究所での事業展開や、現在の八十二文化財団での取り組みに活きています。実際にその土地に住んで地域の文化を肌で感じたからこそ、文化を伝承する重要性を理解し、八十二文化財団が成すべきことに邁進する原動力になっています。

長野県の文化を
未来へとつなげていきたい。

 八十二文化財団は公益財団法人として、長野県の地域文化を記録し、失われつつある文化を伝承することで、特色ある文化を未来につなげていきたいと考えています。
 創立当初から、長野県内の文化財や文化施設の情報を収集。現在も常に最新の情報にアップデートし、ホームページから誰でも検索できるようにしています。また年4回、機関誌『地域文化』を発行。毎号異なる切り口で長野県の文化を特集し、好評をいただいています。年7回開催しているロビーコンサートでは、多くの方に音楽を楽しむひとときを提供。親子で参加できる「貨幣教室」も人気で、県内各地で出前講座も行っています。
 この他にもさまざまな活動を展開してきた八十二文化財団は、今年、創立40周年を迎えることができました。これもひとえに皆様からのお力添えがあったからこそと、心より感謝しております。今年度は周年記念として、多彩な事業を展開中です。
 今後の予定としては、記念特別講座が、10月25日(土)に岡谷市のテクノプラザおかやで開催されます。「歴史から経営を学ぶ~岡谷の歴史からひもとく経営の本質と日本の強み~」と題し、学習院女子大学教授の金城亜紀先生に語っていただきます。
 また、来年3月にはホクト文化ホールにて、ヴァイオリニスト千住真理子氏による記念文化講演会を開催します。こちらの参加申込みは、10月中旬頃から受付開始の予定です。
 例年と違うテーマの講座やギャラリー82での特別展なども準備中です。「友の会」の会員さまには、いち早くご案内いたしますので、ぜひこの機会にご入会いただき、八十二文化財団の活動を知っていただくと同時に、この長野の地で培われた豊かな文化を身近に感じていただければと思います。

(2025年10月号掲載)