豊かな水の恵みが
山岳信仰へとつながって。
戸隠はまた、水が豊かな地でもあります。これは、戸隠山などを形成する硬い地層の上に、飯縄山が噴火したことによる地層が重なり、水を蓄えやすい地質となったため。美しい風景で人気スポットとなっている「鏡池」や「小鳥ヶ池」も、実は人工のため池です。この豊かな水の恵みは、人々の命を支え、農業を支えてきました。大地を潤し、時に氾濫する川の様子は、まさしく龍のごとし。きっと恐れ、敬われていたことでしょう。水の恵みをいただける山として九頭龍様という地主神が生まれ、戸隠山を「御神体」として祀るようになるのは、自然のことだったと思います。
また、大正4(1915)年には、その豊富な水量と水質の良さから、戸隠を水源とした長野市初の上水道が計画され、往生地に浄水場が作られて、長野市街地の人々の暮らしを支えました。この完成を記念してできたのが、善光寺の横にある城山公園の噴水です。大正5(1916)年に一般公開された噴水は、当時としては東洋一といわれ、最大で20mに達したといわれています。この噴水も、戸隠の水の恩恵だったんですね。
その後、昭和39(1964)年にバードラインが整備されると、長野市街地から戸隠まで40分ほどで行けるようになり、多くの観光客が戸隠を訪れるようになりました。それから約60年。近年では海外の方も含め、さらに多くの方たちが戸隠を訪れています。戸隠の魅力を一言で表すのは難しいですが、戸隠山を仰ぎ敬い、地の物である蕎麦を打ち、手作りの竹ざるにのせてふるまう。そういった自然と人との距離感が昔とあまり変わっていないということも、大きな魅力のひとつかと思います。どっしりと構える戸隠山と豊かな水の美しさ、四季折々にさまざまな表情を見せる戸隠の地は、大地の恵みそのものです。
- 旬彩菓たむらを代表する菓子である「蕎麦朧」は、戸隠産の最上級そば粉、長野県産の上質な小麦粉、和三盆、カルピスバター等を用いた、たむらオリジナルの和菓子です。生地を仕込んで焼き上げるまで、一つひとつの工程を手作業で丁寧に仕上げるからこそ、ほろほろとした独特な食感と風味豊かな蕎麦の香りを感じていただけます。

蕎麦朧を味わう

- 口に入れると、ホロッとほどけていく感じがいいですね。ほんのりとした甘みと香ばしさがあって、とても美味しいです。指でつまめるサイズ感もちょうどいい。日本茶はもちろん、どんなお茶のお供にも合うお菓子だと思います。