• 山ノ内町の魅力を
    香りとともに
    多くの人に届けることで
    町の活性化につなげていく。

    • 山ノ内町
      未来創造課 地域創造係
      友野 雅未さん



 2015年の国連サミットで「SDGs」が採択され、2030年までに達成すべき世界共通の目標が示されてから、今年で11年。私たちは、持続可能な社会へと舵を切れているのでしょうか。
 このシリーズでは、さまざまな課題解決のために、長野の企業や団体がどんな取り組みを始めているのかをご紹介します。今回は、山ノ内町の未来創造課地域創造係として日々の業務に取り組む友野雅未さんにお話を伺いました。

山ノ内町の
地域課題解決のために。

 志賀高原や湯田中渋温泉郷、北志賀高原など、日本を代表する観光地を有する山ノ内町。上信越高原国立公園であり、ユネスコエコパークにも登録された自然豊かな山ノ内町ですが、地球温暖化による環境の変化や、少子高齢化による人口減少など、取り組まなければならない喫緊の課題も生じています。
 脱炭素を始めとする環境保全や地域活性という大きな課題に対し、今、私たちができることは何か。検討を繰り返す中で着目したのが、放置された人工林の新たな活用でした。木は年輪を重ねるにつれ、CO2の吸収量が低下していきます。森林のCO2吸収量を増やすためには、成熟期の木を適切に伐採し、新たな若木を植林する「循環」を生み出さなければなりません。では人工林を蘇らせ、町全体の活性化につなげていくにはどうすればいいのか。キーワードは「香り」でした。
 2024年10月、山ノ内町、エステー株式会社、瑞穂木材株式会社、北信州森林組合の4者で包括連携協定を締結。「森林資源のアップサイクル×かおり」をテーマに、官・民共同のプロジェクトチームが結成され、ここから、伐採した杉の枝葉をアップサイクルして精油を抽出し、町の魅力を発信する「シティフレグランス」の開発が始まったのです。

心が「整う」ような香りを届け
山ノ内町の魅力を発信していく。

 それぞれの組織から参加したプロジェクトメンバーは、まず「香り」の定義から検討を始めました。
 実際に森林整備の現場や蒸留工程を見学し、豊かな自然や町の空気に触れながら話し合いを重ねる中で、いつしか皆、自然とともに生きる山ノ内町の暮らしそのものを表現した、「山ノ内町の香り」を届けたいと思うように。森の中で深呼吸したときに心が整っていくような、清々しくて、どこかちょっと懐かしくて、なんだかほっと落ち着くような、山ノ内町を思い出してもらえる「香り」を作りたい。メンバー全員の心がひとつになり、北信州森林組合さんが森林整備と枝葉の回収を、瑞穂木材さんが精油の抽出やアロマウッドの製造を、エステーさんがフレグランスの調合を担当し、「山ノ内町の香り」の実現に取り組みました。
 2025年4月、試作3点が完成し、町内でアンケートを実施。町民の方々にとっては、プロジェクトに参加していただくことで、改めて山ノ内町の素晴らしさを再認識する機会になったのではないかと思います。また地元の中高生にはワークショップなどに参加してもらうことで、環境課題に対する学びの場にもなりました。
 多くの方にご協力いただき、最終的に最も支持された香りを「雪水香(せきすいか)」ブランドの「シティフレグランス」として認定。「THE ORIGIN(ジ・オリジン)」と名付けた香りは、町内の森林で採取した杉の枝葉から抽出した精油をベースに、数種類のハーブをブレンドした100%天然のエッセンシャルオイルです。冬に積もった雪が、春に雪解け水となって大地を潤し、山ノ内町の恵みとなって私たちを笑顔にしてくれる。そんな自然の「めぐり」を通して整っていく山ノ内町の暮らしを表現しました。合わせて制作したロゴマークは、雪水香の文字を水の流れや木の年輪をモチーフに表現しています。新たに誕生した「雪水香」がどうか多くの人の手に届き、香りを通して山ノ内町を知り、訪れ、ファンになってくださる方が増えることを願っています。

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(2026年4月号掲載)