• 眼科医療を支える
    医療機器メーカーとして
    世界中の人に
    診療の機会を届けたい。

    • 株式会社タカギセイコー
      代表取締役社長
      髙木 一成さん



 2015年の国連サミットで「SDGs」が採択され、2030年までに達成すべき世界共通の目標が示されてから、今年で11年。私たちは、持続可能な社会へと舵を切れているのでしょうか。
 このシリーズでは、さまざまな課題解決のために、長野の企業や団体、行政がどんな取り組みを始めているのかをご紹介します。
 今回は株式会社タカギセイコーの代表取締役社長である髙木一成さんにお話を伺いました。

医療機器に携わり
70余年の歴史を重ねて。

 昭和30(1955)年に祖父が髙木製作所を創業し、医療機器部品の加工を手掛けたことからタカギセイコーの歴史は始まりました。以来70余年にわたり眼科医療機器メーカーとして、企画・設計から製造、品質管理、販売、アフターサービスまで一貫体制を整え、眼科医療の発展に貢献しています。医療現場に近い存在として、常に現場のリアルなニーズに寄り添い、使いやすさや機能性、安全性、耐久性を追求。熟練の技術者が部品加工から塗装、組み立てまで丁寧に手掛けることで、信頼されるクオリティの製品を生み出しています。
 令和元(2019)年、WHO(世界保健機関)は、世界規模では初めてとなる「目の疾患に関する調査報告書」を発表しました。報告によると、世界中に視覚障害を持つ人は少なくとも22億人存在しており、そのうちの10億人は必要な治療を受けられていないとされています。特にアフリカやアジアの中低所得国では、失明している人の割合が先進国の約8倍となっていて、所得や地域による格差が顕著になっています。眼鏡を手に入れることすらできない人が約8億人いるという報告もあります。
 この情報は、眼科医療の現場に関わる私たちに非常に大きなインパクトを与えました。私たちにできること、やらなければならないことがまだまだあるのだと、今、改めて感じています。

世界中の人たちに
見える喜びを届けたい。

 現在タカギセイコーは、スリットランプと呼ばれる診察の際に使われる照明付きの顕微鏡や、手術の際に使われる顕微鏡を中心に製造しています。日本国内ではトップクラスのシェアを誇り、さらに世界80カ国以上の医療機関にも導入。今後はさらに海外展開を加速させ、私たちの技術を世界に届けることで、少しでも多くの患者さんが治療を受けられるよう、世界中の眼科医を支え、医療の浸透に貢献していきたいと考えています。
 さらに令和2(2020)年には、MITAS Medical社と資本業務提携を結び、「MS1モバイルスリットランプ」を共同開発しました。これはスマートフォンに診察用のスリットランプを装着することで、スマートフォンのカメラを利用して目の画像を撮影することができる機器です。手軽に持ち運べることから、遠隔地や僻地での医療、在宅医療や救急医療、被災地での医療、途上国の医療など、これまで眼科医療が届きにくかった場所でも使える医療機器として大きな可能性を感じています。例えば離島などの診察で、非眼科医などの医療関係者が撮影した画像を、離れた場所にいる眼科医が見て的確な診断ができるようになります。これにより、適切な処方を行えるようになるだけでなく、疾患の状況によっては高度な眼科専門病院にスムーズにつなげることも可能になります。SDGsの17の目標のひとつである「すべての人に健康と福祉を」は、まさに私たちタカギセイコーが目指すべき指針であり、これからも世界中の人に眼科医療を届けるための挑戦を続けていきたいと思います。
 この他、NPO法人への医療機器の寄付やフードバンクへの食品の寄贈、地域施設のネーミングライツパートナーなど、社会貢献にも力を入れています。環境にも配慮し、自社発電による太陽光エネルギーによって約15%の電力を自給。CO²フリー電気と合わせ、CO²を排出しない環境を構築しています。これからも社員一丸となって、眼科医療の未来に、そして地域に貢献していきます。

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(2026年6月号掲載)