旬彩菓たむら-戸隠一山
 

 長野市伊勢宮に本店を構える「旬彩菓たむら」は、季節の旬、そして人生の折々に訪れる旬を彩るお菓子を作り続けています。そんな「たむら」が、地産地消を志し、地域の素材を求める中で出会ったのが、戸隠の地。良質なそば粉を通して見えてきた戸隠の魅力を、美しい四季とともにお伝えしたいと思います。
 今回は、戸隠神社の宮司である大杉明彦さんに、戸隠五社のうち奥社についてお話を伺いました。

戸隠信仰の
始まりの地、奥社。
 戸隠神社には戸隠信仰の起源を記した「戸隠山顕光寺流記并序」という書物が残されています。これによると、平安時代の嘉祥3(850)年、学門行者という徳の高い行者が、飯縄山から金剛杵を投じたところ、はるか戸隠山の宝窟に至って光を放ったそうです。そこで行者がこの窟に行って地主神を呼び出そうと深く祈念すると、地の底から観音様やお釈迦様など仏様が湧き出しました。行者がさらにお経をとなえ続けていると、九頭一尾の大龍が現れて「自分は、この山の別当だったが、仏様をないがしろにしたので蛇身になってしまった。だがお前の唱える法華経を聞いて解脱できたので、未来永劫この山を守ると誓おう」といって窟に籠りました。これを受けて、学門行者は険しいこの地に、奥院を開いたとされています。
 これに天の岩戸伝承や神仏習合の思想、本地垂迹説などが混ざり合い、奥院には天の岩戸を投げ飛ばしたとされる天手力雄命を祀って本地仏を聖観音とし、九頭龍社には九頭龍様を祀って本地仏を弁財天として、全国から多くの信仰を集めることになりました。ちなみに戸隠山は、九頭龍様が窟に隠れたときに大きな岩で窟を閉ざしたことから、戸で隠した戸隠山という説や、天照大神が隠れた天の岩戸を天手力雄命が投げ飛ばした、その岩戸が戸隠山であるという説などがあります。どちらも壮大な伝承であり、ロマンを感じます。
美しい信仰の地を
未来へとつなげていく。
 奥社といえば、まず思い浮かべるのが荘厳な杉並木ではないでしょうか。文禄3(1594)年、朝鮮出兵から無事帰国した上杉景勝の支援を得て社殿が再建された頃から、元禄期にかけて段階を追って奥社参道に杉が植樹されたと考えられます。あまり知られていませんが、参道は奥社から怪無山の山頂方向に延びていて、立冬と立春の日は、杉並木の間、随神門の上からまっすぐに太陽が昇るんです。この杉並木を一体誰がどのように設計したのか、興味は尽きません。200本ほどの杉の巨樹から成る杉並木が神域である奥社の地を守り、この杜は昭和48(1973)年に長野県の天然記念物に指定されています。
 そんな参道を杉の香りに包まれながらゆっくり歩いていくと、石垣が残っている箇所を確認することができます。これが、奥社の院坊跡です。奥社には江戸時代まで12の院坊があり、調査を進めたところ、さらに多くの院坊が存在していたことがわかってきました。新たに川から院坊に引かれた水路跡なども見つかっており、これからの調査に期待が高まります。
 また、杉並木が終わった参道の右側奥には、太陽が差し込む広い空間があります。よく見ると建物の土台となる礎石が点在しており、ここに大きな講堂があったことがわかります。これは、多くの修行僧などが集まる場所が必要だった証であり、ここから戸隠信仰がいかに栄えていたかを知ることができます。
 まだまだ語り尽くせない戸隠奥社の魅力を、さらに多くの方に知っていただくために、倒れた杉の後にスギ苗を植えるなど、先を見据えた活動も始まっています。一昨年「一般財団法人戸隠奥社の杜財団」を設立。皆様のご支援を得て、戸隠の美しい自然を守りながら信仰の地を未来へとつないでいきたいと思います。
戸隠のそば粉を活かした
たむらの代表菓子

蕎麦朧

  • 旬彩菓たむらを代表する菓子である「蕎麦朧」は、戸隠産の最上級そば粉、長野県産の上質な小麦粉、和三盆、カルピスバター等を用いた、たむらオリジナルの和菓子です。生地を仕込んで焼き上げるまで、一つひとつの工程を手作業で丁寧に仕上げるからこそ、ほろほろとした独特な食感と風味豊かな蕎麦の香りを感じていただけます。
蕎麦朧を味わう
  •  小さくてかわいらしく、とても上品で食べ飽きない美味しさですね。甘さも控えめでくどくなく、そばの香りをふんわりと感じます。戸隠産のそば粉を使っていただいていると聞くと、とても親しみを覚えて嬉しく思います。
  • 本店
  • 住所/長野市伊勢宮1-18-14
  • TEL/026-228-9235
  • 営業時間/9:00~18:00
  • 定休日/月曜日
  • 駐車場/8台
  • ながの東急店
  • 住所/長野市南千歳1-1-1ながの東急百貨店 地下1F
  • TEL/026-226-8181(ながの東急代表)
  • 営業時間/10:00~19:00
  • 定休日/ながの東急百貨店に準ずる
  • 駐車場/ながの東急百貨店駐車場をご利用ください。
  • http://www.shunsaikatamura.com/
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(2026年8月号掲載)