旬彩菓たむら-戸隠一山
 

  長野市伊勢宮に本店を構える「旬彩菓たむら」は、季節の旬、そして人生の折々に訪れる旬を彩るお菓子を作り続けています。そんな「たむら」が、地産地消を志し、地域の素材を求める中で出会ったのが、戸隠の地。良質なそば粉を通して見えてきた戸隠の魅力を、美しい四季とともにお伝えしたいと思います。
 今回は、代々顕光寺の別当を務めた久山家が営む宿坊、久山館の代表である久山勝彦さんに、戸隠五社のうち九頭龍社についてお話を伺いました。

九頭龍様とともに
歴史を刻んできた戸隠。
 戸隠開山の源となる九頭龍様は、古は荒ぶる山の神でしたが、山岳信仰と神仏習合の流れを受け、九頭龍大権現として本地仏を弁財天とし、やがて水の神、農業の神として祀られるようになりました。九頭龍社は奥社の左側に位置し、戸隠三十三窟のうちの第二十四窟に建てられています。これは九頭龍様が戸隠を守護することを誓って洞窟に籠ったという言い伝えから、本殿を洞窟内に作ったと思われます。全国各地に戸隠講がつくられ、中でも農家の人々が雨乞いや五穀豊穣を願って参拝に訪れるようになりました。
 現在、久山館のあるこの場所は、江戸時代まで顕光寺の別当、勧修院として代々戸隠一山を治めてきました。歴代の別当は、比叡山延暦寺、東叡山寛永寺より勅命を受け、公家の養子として入山。明治時代に神仏分離令が出され、顕光寺が戸隠神社になるまで65代を数えます。最後の別当であり最初の神主となった久山理安から数えて私で5代目となります。
 中社のすぐ脇に建つ勧修院の前には池があり、51代の別当がこの池に九頭龍様の本地仏である弁天様を祀ったことから、弁天池と呼ばれていました。当時、 奥社は女人禁制であったことから女性やお年寄りは弁天池のお堂にお詣りし、九頭龍様に願掛けをしていたそうです。この弁財天様も神仏分離令の際に廃棄となるところでしたが、65代別当が「他言無用」「開門不要」として久山家の奥深くに封印し、その姿を隠すこととなりました。
変わりゆく時代とともに
戸隠の信仰を見守って。
  久山家の奥深く、約130年もの永きにわたり厨子の扉を閉ざしていた九頭龍弁財天様に光が当たったのは、平成11(1999)年のことです。時代の移り変わりとともに、各宿坊にひっそりと保管されていた仏様も改めてお祀りすることで、戸隠信仰の歴史も含めて後世に伝えていこうという機運が高まったことを受け、修復に出されました。京都の大仏師にお願いして当時の輝きを取り戻した九頭龍弁財天様は、現在、久山家の神殿に祀られています。
 江戸時代初期のものと考えられる九頭龍弁財天様は腕が8本ある八臂弁財天であり、左右に大黒天と毘沙門天、そして眷属の十五童子と男女神等を揃えた立体曼荼羅となっています。色彩鮮やかな厨子の中、活気あふれる童子たちが柔和で品のある弁財天様の周りを賑やかに取り囲む、美しくも完成された世界に心が安らぎます。10時から14時までどなたでも参拝していただけますので、ご希望の方はお声掛けください。
 では、九頭龍社の本尊であった弁財天様はというと、善光寺の宿坊のひとつである蓮華院に祀られています。神仏分離令の際に五社の本尊はそれぞれ山を下り、九頭龍弁財天様は當山賽勝院に移られたそうですが、その寺が廃寺となったことから天台宗の寺院を巡られ、後に蓮華院に移されたそうです。現在は、令和4(2022)年に改修された立派なお堂に祀られ、どなたでもお詣りすることができます。
 嘉祥2(849)年の開山より千年を超えて連綿と続いてきた戸隠一山の信仰の歴史は、時代ごとに大きく変化しながら今日まで続いてきました。これから先も、変化し続けるであろう戸隠を楽しんでいただければと思います。
戸隠のそば粉を活かした
たむらの代表菓子

蕎麦朧

  • 旬彩菓たむらを代表する菓子である「蕎麦朧」は、戸隠産の最上級そば粉、長野県産の上質な小麦粉、和三盆、カルピスバター等を用いた、たむらオリジナルの和菓子です。生地を仕込んで焼き上げるまで、一つひとつの工程を手作業で丁寧に仕上げるからこそ、ほろほろとした独特な食感と風味豊かな蕎麦の香りを感じていただけます。
蕎麦朧を味わう
  •  まろやかで甘すぎず美味しいですね。昔、中社に「まつざわ」というお菓子屋さんがあって、香煎や羊羹などを作っていました。また、みやげ店では笹の葉を集めて軒に干して、これにあめを包み戸隠みやげとして売っていました。大変懐かしい記憶です。
  • 本店
  • 住所/長野市伊勢宮1-18-14
  • TEL/026-228-9235
  • 営業時間/9:00~18:00
  • 定休日/月曜日
  • 駐車場/8台
  • ながの東急店
  • 住所/長野市南千歳1-1-1ながの東急百貨店 地下1F
  • TEL/026-226-8181(ながの東急代表)
  • 営業時間/10:00~19:00
  • 定休日/ながの東急百貨店に準ずる
  • 駐車場/ながの東急百貨店駐車場をご利用ください。
  • http://www.shunsaikatamura.com/
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(2026年9月号掲載)