
「つながる」をキーワードに
長野市が構築した
訪問型アウトリーチ支援が
多様化する子育てを支えていく。
2015年の国連サミットで「SDGs」が採択され、2030年までに達成すべき世界共通の目標が示されてから、今年で11年。私たちは、持続可能な社会へと舵を切れているのでしょうか。
このシリーズでは、さまざまな課題解決のために、長野の企業や団体、行政がどんな取り組みを始めているのかをご紹介します。今回は、長野市教育委員会事務局学校教育課係長である小林清一さんにお話を伺いました。
「つながる」をキーワードに
アウトリーチ支援体制を構築。
全国的にも大きな課題となっている不登校児童・生徒の増加に対し、長野市では、すべての子どもたちを「安心できる学びの場」につなぎ、自立を支援できるよう、長野市独自の視点で訪問型アウトリーチ支援事業を展開しています。
長野市では、これまでもさまざまな支援を行ってきましたが、現状を分析する中で、子どもの環境や状態によっては、支援まで「つながることができない子どもたち」がいることが大きな課題となっていました。また、不登校の低年齢化や長期化といった新たな課題も見えてくる中、これらの課題にどう対応していくべきかを検討。令和7年度から新たに、校内教育支援センターや教育支援センターを拠点としながら、そこにつながることができずにいる子どもたちのために、訪問型アウトリーチ支援事業「つながるサポート」をスタートしました。
アウトリーチとは、直訳すると「手を伸ばす」という意味です。子どもたちを誰一人取り残さないためには、待っているだけではなく、こちらから積極的に手を伸ばしていく必要があります。「つながるサポート」では、アウトリーチコーディネーターを中核に、アウトリーチスタッフ・しなのきサポーター・オンライン支援スタッフ、さらには訪問支援をサポートしてくれる「出張フレンド(大学生)」によるチーム体制を構築。それぞれが柔軟に連携をとりながら支援事業を展開しています。
つながることで見えてきた
新しい支援のカタチ。
不登校の子どもたちを取り巻く環境や状態はさまざまで、画一的な支援では解決が困難です。また、必要な支援や最適な学びの場も、支援する子どもによって違ってくることから、「つながるサポート」では、子どもの意志を尊重したオーダーメイドの支援計画を作成。支援開始前に保護者からの同意をいただき、状況に応じて計画を柔軟に見直しながら、常に最適な支援を模索していきます。例えば猫が好きな子と一緒に猫カフェに行ったり、体を動かすことが好きな子と一緒に公園で遊んだり、一人ひとりの興味や関心に合わせた活動を一緒に行うことで絆を結び、一つひとつステップを重ねながら、その子にとって最適な「学びの場」につなぐことを目指します。直接会うことが難しい場合は、令和6年にオープンした教育支援センター「SaSaLAND」のオンラインの居場所である「メタバースSaSaLAND」上で、担当スタッフがコミュニケーションを図ります。活動を通して仲良くなった友達に会いたいと「SaSaLAND」の利用へとつながったケースもあります。
令和7年度は、「つながるサポート」に136件の申し込みがあり、89人の状況が好転し、うち43人が教育支援センターや学校などの「学びの場」へとつながることができました。新しい事業で明確に成果が出たことを、本当に嬉しく思っています。
今後は、訪問型アウトリーチ支援事業「つながるサポート」の仕組みをより充実させ、長野市全域に定着させていくことで、子どもたちを誰一人取り残さない「つながる」支援を確固たるものにしていきたいと考えています。こうした支援のネットワークがあることは、子育ての「安心」にもつながっていくはずです。長野市が多面的に子育てをバックアップしていることを、多くの方に知っていただきたいと思います。
(2026年11月号掲載)